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刀剣女士 にじゅうに! ページ26

長谷部side



ほとんどの刀が兄弟を連れて自室に戻った頃…酔いつぶれた奴らと主、そして俺とくろは大広間にいた。
 

ふと、さっきくろが言った言葉がよみがえる。


俺といるのが幸せか…俺のどこがそんなにいいんだか。

月の光が暗い広間を照らした。


長谷部「当たり前が幸せ…だったな」


それはこいつの昔からの口癖だ。


俺達は刀だ。

今は人の体を持っていても、所詮は鉄の塊であり、何かを斬る為の道具でしかない。
 

俺達はただ、俺達を扱う人間の思うように振るわれるのが役目。


それが俺達にとっての当たり前。


だが…くろだけはそれを否定した。




なぜ自分の意志で動けない


なぜ自分で振るう相手を選べない


なぜ自分達は物でしかないと自ら全てを諦めている



初めて会ったとき、くろは俺に向かってそう言ってきた。


初めは何を言っているのか分からなかった。ただ、俺達刀の当たり前を否定してまで自分の存在を高めようとするこいつの意志がくだらないとしか思えなかった。

今になって…くろらしいと思える。


長谷部「?…おい」


やけに静だと隣を見ると、くろは座ったまま酒を片手に眠っていた。

だからあれ程飲み過ぎるなと言ったんだ…。

とりあえず辺りの物をどかし、そこに寝かせ、持ってきたジャージをかける。


長谷部「…変わらないな、お前は」


夜叉黒雪は平安時代の末に打たれた刀。
 
あの男の元で出会うまで、どんな刃生を送ってきたのかなんて俺は知らない。




くろは前に言った。
 

自分は永年数多くの人間の元を回った。


見たくない光景を何度も目にし、聞きたくない音を何度も聞いてきたと。


その度に、人間という存在への価値が変わり、見方も振る舞いも全てがかわっていったと。
 
刀である以上、それは当たり前のことだ。今更何を言う。


そう俺が言ったときも、くろは笑顔で「それは諦めている証拠だ」と言った。

それと同時に「人間という生き物は弱くて、愚かで…見ていて飽きない」とも言った。
 
 
俺が黒田家に下げ渡されてから、くろは俺のどこに興味を持ったのかうるさいくらい引っ付いて離れなくなった。

俺も俺で、口では離れろというものの実際は満更でもなかったのかもしれない。


長谷部「お前は…変わってくれるなよ」


もちろん返事が返ってくることはない。



 
俺の中で、こいつは大きな存在なのかもしれないな。




長谷部side終了
 
 

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聖カコ(プロフ) - 作者名、確かに響きがいいですね。この作品に癒やされてます。いつも更新感謝です。 (2019年4月23日 22時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
聖カコ(プロフ) - 素直じゃない長谷部可愛い。宝箱イベ、宝箱の鍵は出ても蔵の鍵が出ない・・・ (2019年4月10日 21時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
月下(プロフ) - 長谷部の小説少ないので嬉しいです!基本的に箱推しなので、みんなの分読みたいんですよね〜。更新頑張ってください! (2019年4月4日 13時) (レス) id: 44bf1c6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
聖カコ(プロフ) - 我、長谷部沼の住人なり・・・伽羅ちゃんも大好きですが。面白いです。更新頑張ってください! (2019年4月3日 17時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧雨柊月 | 作者ホームページ:霧雨柊月  
作成日時:2019年3月20日 20時

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