私には使命があります2 (ページ26)

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七拾参の幕(にっかり青江) ページ26

青｢…｣

｢青江！！｣

うっすらと目を開けると、僕を皆が囲んでいた。
涙目になる短刀たち、泣く寸前の一期くん、ホッとする皆…

｢よかった…！俺、ホントどうしようかって…｣

青｢…｣

見たところ、大怪我を負ったのは僕だけのようだった。
最前線で刀を握っていた彼らは軽傷。
その他は無傷…かな。

青｢……ちゃ…｣

｢え？｣

青｢…A…ちゃん…｣

そうだ、Aちゃん。

けれど、皆は俯いた。
中には泣き出す人だって。

｢…青江｣

青｢…｣

｢A、は…｣

青｢…そっか…｣

やっぱりあれは、夢じゃない。
彼女が、僕をここまで連れてきたんだ。

青｢…彼女…存在しなかったんだ…｣

｢は…｣

初めて言葉を交わしたあの時。
心惹かれたあの時。
僕は、霞む彼女の足元を見た。
まるで、そこに存在していないと言わんばかりに揺れる体。
僕の恋は、恐ろしく早く散ってしまった。

｢式神…か…｣

石｢神と言えど…術者の創り出した幻だからね｣

青｢…｣

幻…か。
僕達が見ていたのは、夢だったのかな。
存在するはずもない、歴史に残っていない刀。

けど…あの寂しそうな顔は……

『ありがとう…』

最後に、最期に…そう言った声は………