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七拾弐の幕(にっかり青江side) ページ25

ゆらゆらと炎が揺れる。
あれ、なんだこれ…炎?

ゆっくりと立ち上がると、なんだか体が軽い様な。
見覚えもない真っ暗な闇、に灯篭が炎を揺らす。


でも、あぁ…似てる。
僕達がこの姿になる前までの、ただ何百年と刀として在り続けた日々に。


『青江殿』

青「…?」


好きな声。
通るような、今にも消えそうな声。


青「…Aちゃん、出陣は?」

『…もう帰ったよ…それより青江殿は?』

青「僕は……」


知らない内に…いや、少し前から…だいぶ前からここにいたよ。
そこに突然、君が来たんだ。


『…』

青「…ここは居心地がいいよ」

『…青江殿』

青「静かなんだ…」

『青江殿…』

青「永遠のような…きっと君も…」

『青江殿、私を、見て』


見てるじゃないか、こんなにもよく君が見える。
優しく微笑む君が、僕の、好きな、君が。


…嫌だ、やめてくれ…
僕は…ぼく、は……


『青江殿』

青「A、ちゃ…」


ぐい、と頬を掴まれる。
なんて冷たい感触だろう。


青「…は、…はは…」

『…』

青「A…ちゃん…」


僕の瞳で捉えたAちゃんは、ゆらゆらと陽炎のように揺れていた。
なんで。
あの時は、まだそこまで酷くなかったじゃないか。
どうして……


『…お別れだな』

青「…ぇ……」

『其方は…ここにいてはいけない』


カッと、眩むようなまばゆい光。
思わず目を閉じてしまいそうになる。
ダメだ、ここで僕が彼女を見失ったら……


青「Aちゃん!!」


いくら手を伸ばそうとも、彼女はこの手を掴んではくれない。
どうして、ねぇ。


『ーーーーー…』



最後のこの言葉だけが、何故だか不思議とそばにいてくれるような気がした。

七拾参の幕(にっかり青江)→←七拾壱の幕(貴方side)



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ハク(プロフ) - とっても面白かったです!!番外編もみてみたいです! (2017年4月10日 17時) (レス) id: a0d23eb5b6 (このIDを非表示/違反報告)
新雪 - 最後涙でそうになった。w (2017年1月4日 1時) (レス) id: 295e266782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はせがわ | 作成日時:2016年5月2日 20時

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