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五拾九(加州清光side) ページ12

あぁ、落ち着かない。
何をしようにも思い付かなくて、ただ、まだかと急くばかり。


安「…もーうるっさい」

清「何にも言ってないし」

安「ソワソワしてんのが伝染るって。そんなに待ち遠しいなら清光から行けば?」

清「だって、来てって言ったのは俺だもん」


そう、だから待っている。
誰を?

Aを。
俺の右手には今、昨日買ってきた髪飾りがある。
そんなに、緊張するほど大したものじゃない、けど…


『すまない、遅くなったか?』

清「!」


来た。
あの約束、覚えててくれたんだ。
更にうるさく心臓が鼓動する。
あぁ、ちょっと俺、今やばい。


清「いや、だ、大丈夫…」

安「…コイツさっきからずっとそわそ…」

清「ばっ馬鹿言うなよ!!」


あー…Aの部屋に行けば良かった…!!

改めて、Aの方を向き直る。
ホント、何も着飾らないのが勿体ないくらいに可愛い。


『なんだ?』

清「…あのさ、これ…あげるよ。似合うと思う…よ?」


小さな手のひらサイズの小包を渡す。
開けていいのか?なんて聞くけど、なに、お守りにでもするの?
ゆっくりと開けられて出てきたのは、俺とお揃いの色のしゅしゅ。


『これ…』

清「…Aの色と対照的だけど、可愛いかなって。…つけて…あげよっか?」


恐る恐る、そううかがう。
Aの後ろにいる安定は、驚いた様に髪の毛を梳かす動作を止めた。


『なら…その言葉に甘えよう』


頼んだ、なんて微笑みかけて俺に背を向ける。
うあ、俺、今絶対変な顔してる。

Aの髪の毛に指を通せば、さらさらと落ちて行く。
綺麗。


『ふふ、くすぐったいぞ』

清「え、あっごめんっ…」


気付かない間にずっと触っていたようだ、恥ずかしい。
俺は手馴れたように、形を作っていく。
きっとAは、横にお団子したやつが似合う。


清「はい、可愛くなったよ」

安「…」

『おぉ、本当か?礼を言う』


本当だよ。
目の前の安定が赤くなるくらい。


清「いいよ、それくらい。…これからさ、俺のとこに毎日来てね?結んであげる、から…さ?」

『そうだな。これから是非ともお願いしたい』


丁度広間から声が上がる。
もう行かなきゃ…まだここにいたかったのに。


『そろそろ行こうか』

清「うん、」


俺達よりも早く、障子に手をかけてAは出ていこうとする。

…ねぇ、A…


『…そう言えば、加州殿と同じ色だな』


…そうやって笑うの、本当に反則だと思う……!

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ハク(プロフ) - とっても面白かったです!!番外編もみてみたいです! (2017年4月10日 17時) (レス) id: a0d23eb5b6 (このIDを非表示/違反報告)
新雪 - 最後涙でそうになった。w (2017年1月4日 1時) (レス) id: 295e266782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はせがわ | 作成日時:2016年5月2日 20時

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