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四拾九の幕(貴方side) ページ2

青江殿が出ていった後、すぐに静かになる。
と思っていたが、割と早めにその予想は裏切られた。


歌「じゃあ…冷めないうちに食べなよ?」


困った様に眉を寄せ、微笑む歌仙殿。
そう言えば彼も、料理が得意だと言っていたような。
ここは本当に幸せな所だな…


『1人分か?』

歌「ああ…丁度昼餉の用意をしていてね、一人分ずつしか作れなかったんだ。今彼の分も煮ているよ」


そういうことなのか。
納得し、粥を蓮華ですくう…すく、う…
……


歌「…?食欲…ないのかい?」

『あぁいや、そういうわけじゃあないんだ……』


う ま く 体 を 動 か せ な い

病気というものは、ここまでひどくなるものだったのか…

視線を歌仙殿にそらす。
すると彼はそれが分かったのか、苦笑いをした後、すぐに私の方へ近付いた。


歌「まったく君は…」

『すまんな』

歌「ほら、口を開けて」


ほかほかと湯気の立つ粥がゆっくりと口の中へ入っていく。
美味……
これはだいぶ女として負けているのでは…?


歌「美味しいかい?」


頬張ったまま何度も頷くと、何故か頭を撫でられた。
どことなく解せぬ気もして表情をのぞき込んでみると、なにやら桜を舞わせて俯いていた。

ますます雅で風情があって不思議なやつだ。


雛鳥のようにほいほいと食事を与えられた後、飲料水を飲まされ、彼はすぐに部屋を出た。
獅子王殿の粥を今度は持ってくるという。


再び人の声が聞こえなくなり、寂しいような気分になる。
どうにか気持ちを落ち着かせようと獅子王殿に目をやると、丁度うっすらと目を開けたところだった。


獅「あ…あれ……」

『おはよう。すまないな、其方まで巻き込んでしまって』

獅「う…?あ……だから休めっつったのに……」


そんなことを言いながら、私に笑ってみせる彼は優しい。

もう少し休んでいろ。
そういう意味でも頭を撫でてやると、彼はふわりと笑んだ。


獅「お前の手…なんだか心地いいな……」

『そうか…』

五拾の幕(歌仙兼定side)→←四拾八の幕(にっかり青江side)



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ハク(プロフ) - とっても面白かったです!!番外編もみてみたいです! (2017年4月10日 17時) (レス) id: a0d23eb5b6 (このIDを非表示/違反報告)
新雪 - 最後涙でそうになった。w (2017年1月4日 1時) (レス) id: 295e266782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はせがわ | 作成日時:2016年5月2日 20時

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