♯009 知らないことばかり ページ9
色人side
よかった、とりあえず正装をしてきて
でも、なにこの有名人ばっかりのコンサート
それに招待されてるAって
一体なにもの？
俺ってAのこと何も知らないんだな
何故かすごく遠い存在に感じた
客席は暗くなり
美しいドレスを身にまとった演奏者が次々と
演奏をしていく
あ、あのヴァイオリン二スト俺でも知ってる
テレビで見るような人ばっかりだな
『ありがとうございます。それでは本日のスペシャルゲストはこの方です』
司会者の声と同時に
ピアノにスポットライトが当てられた
その瞬間に観客たちはさっきまでと
目の色が変わり、大きな拍手をした
え、なになに
あれ、俺だけついてけてない？
『〜〜♩♩……♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜｡・:＋°』
そんな拍手をかき消すように
力強い、ピアノの音色が流れ出る
なにこれ、家で聞いてたのより
めちゃくちゃ良い!!
しかも、すごく心地よい気分にさせてくれる
Aってこんなにピアノ上手かったんだ
俺の隣の人なんかは目から涙を流していた
？)よかった、チケット取って
？)本当ね、最近コンクールに出てくれなかったから
？)また、弾いてくれてるね
そこらじゅうでそんなボソボソとした声が聞こえる
？)あなたも、七星(ななせ)さんが来るって知って
チケット取ったんでしょ？
俺の隣の女性が話しかけてくる
七星…そうか、Aの名字は七星って言うのか
色人)ええ、まぁ、彼女はそのすごく有名ですから
とりあえず、知らない振りは出来ず
話を合わせた
女)まぁ、彼女は別格よね
どこの教室にも通ってない女の子が急に現れて
あっさり優勝しちゃうから、みんなが彼女を
追いかけ回したらしいわ
すごく詳しいな、このオバサン
俺の知らないことばかり、帰ったら聞かなきゃ
色人)え、そうなんですか
僕、今日たまたま来れたんですけど
すごい人なんですね、えーっと
女)七星！七星 心奏(ララ)さん！
初めてなら、しょうがないわね
心奏…初めて知る名前に少し悲しくなった
本当の名前はどっちなんだろう
あのとき、教えてくれたAって名前は
偽りだったのかな？
続く
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作者名：神姫 | 作成日時：2019年6月11日 8時
