127.(追加) ページ32
SIde:ab
すべて覚悟は、もう出来ているはず。
それなのに、目黒に抱き締められると、
決めたはずの覚悟が揺らぎそうになった。
ずっと気持ちに蓋をしてきた。
ずっとこのぬくもりを求めていたし、
この匂いを探していた。
この気持ちをもっと早く受け止めていればよかったんだ。
自分の感情を肯定すると、
気持ちがスッと軽くなった。
どうにでもなってしまえ。
いまはただ、この愛おしい人を、
最後に自分のものにしてしまいたかった。
気付くと、俺は彼の唇を奪っていて、
それが、彼を苦しめることになると知りながら、
衝動を止めることは出来なかった。
唇をはがすと、
彼は動揺しながらも、
すこし嬉しそうにしていて、
それがどういう意味かと俺に問いかける。
でも、
それに答えることは出来ない。
喉につかえた言葉を飲み込むと、
目の前が霞んだ。
重ねられた手は、温かくて、
やっぱり大きくて、安心できる。
目が合うと、
今度は目黒の方から、顔を寄せてきた。
動揺は無い。
そっと目を閉じると、
優しくて、温かくて、切なくて、
甘い唇が重なる。
それを全身で受け止める。
その時間はあまりにも幸せだった。
優しい時間が続き、
やっと剥がされた唇は、少し濡れていた。
そのまま彼の胸に顔を埋めると、
もう出てこないと思った涙は簡単にこぼれ落ちてきて、
俺の心は正直に、
彼を求めていたのだと教えてくれる。
心地よい胸に抱き締められながら、
いろんなことに思いを馳せていた。
自分はどこから踏み間違えて、
何を掛け違えてしまったのだろうか。
心はふわふわと宙に浮いていて、
自分のことなのに、
自分自身を俯瞰してみている自分に気がついた。
今自分がこの世界に存在しているのかさえ、
曖昧に感じる。
目黒のぬくもりを感じているから、
自分はまだこの世界にいるのだと実感できた。
このまま、この幸せな気持ちのまま、
存在ごと、
みんなの記憶ごと消えてしまえれば、
どれだけ楽なんだろう。
目黒の胸は心地よくて、
気付くと俺は、
彼の胸の中で穏やかな眠りについていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 766人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haryu(プロフ) - の！さん» の！さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです。ありがとうございます。励みになります！頑張って完結させたいと思いますので、もう少しお付き合いください！ (2020年6月13日 18時) (
レス) id: 70e445560a (このIDを非表示/違反報告)
の！(プロフ) - すごく大好きです。頑張ってください。 (2020年6月13日 0時) (レス) id: 919d8e7977 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月1日 4時
