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踵を返して、大通りに走る。
何も考えていなかった。
ru『めめ？
ちょっと待って、
伝えないといけないことが…！」
ラウールが何かを言いかけていたのは分かった。
でもそれ異常に焦りがあって、
「ごめん、また連絡する」
と、一方的に電話を切った。
リハ室でみた阿部ちゃんの顔は、
今まで見たことのない顔だった。
「壊れそう」な顔は知っている。
きっとあれは、壊れてしまった顔だった。
全力で走る。
何度もスマホが鳴っていたが、
今はそれどころじゃない。
大通りに出て、必死に足を動かしながら、
タクシーを捕まえて飛び乗った。
ラウールからの大量の不在着信を無視して、
あの日と同じ様に電話を掛け続けた。
しかし、
かけてもかけても、
スピーカーからは無機質な機械音しか聞こえてこない。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿間に合え。
そう祈ることしか出来ない自分がもどかしかった。
タクシーを降り、
マンションに駆け込み、
部屋の番号を押してインターホンを鳴らす。
意外にもそれはすぐに繋がった。
「阿部ちゃん、ごめん、話したい」
マイクに必死になって声をかける。
返答はない。
しかし、
無言のままオートロックは開き、
俺はあの日と同じ様に階段で彼の部屋まで走った。
その距離が長く感じる。
でもそれ以上に、
エレベーターを待つ時間の方が耐えられないと思った。
チャイムを鳴らす前にドアに手をかけると、
ドアはあっさりと開く。
乱暴に靴を脱ぐと、
リビングに一目散に走る。
床に座り込んでいた彼の背中を見た瞬間、
無事でいてくれたことに安心して、
後ろから思い切り抱きしめた。
暴れる様子も、拒否する様子もなく、
ただされるがままに受け止めている。
その雰囲気は、いつも以上に不安定で、
危なっかしくて、儚くて、
こうして抱きしめていないと、
存在ごと消えてしまいそうで、
何度も何度も抱き締め直した。
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haryu(プロフ) - の！さん» の！さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです。ありがとうございます。励みになります！頑張って完結させたいと思いますので、もう少しお付き合いください！ (2020年6月13日 18時) (
レス) id: 70e445560a (このIDを非表示/違反報告)
の！(プロフ) - すごく大好きです。頑張ってください。 (2020年6月13日 0時) (レス) id: 919d8e7977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月1日 4時
