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そして、しゃがみ込む彼をみつけて、
いまこうしてロビーで向かい合っている。
ab「…何」
「何、じゃないでしょ、そんな顔して」
ab「…戻る」
今日に限って手強かった。
阿部ちゃんの調子が良くないのは見ればわかる。
俺は立ち上がろうとする彼の肩を押さえつけるようにして
椅子に押し戻した。
「ねぇ」
語気を強めると、
阿部ちゃんはなにかに怯えるような目で俺を見る。
泣きそうな顔だった。
「…避けないでくださいよ。
俺は、」
ab「待って、」
取り乱したように、
自分の手で耳を塞ぎながら、
俺の言葉を制した。
息はあがり、耳をふさいだまま前かがみになって、
頭を横に激しく振る。
壊れる。
とっさにそう感じて、
何も言わずに身体を強く抱き締めた。
ab「離して！！！」
…しかし、それは彼の激しい抵抗で拒否され、
俺は思わず硬直した。
こんなに激しく、
乱暴に拒否されたのは初めてで、
そんな状況じゃないとわかっているのに、
傷ついた心を隠しきれない。
ab「違う、ごめん、そうじゃなくて」
言葉が支離滅裂になっていくのが分かって、
まずは自分が落ち着くために距離を取る。
「こっちこそごめん、いきなり」
落ち着かせようと、
両手を挙げて、距離をとったまま、
できるだけ優しく話しかけた。
それでも動揺した彼に
どこまで言葉が届いているのか、
もうわからないところまできていた。
ab「本当ごめん、
目黒は何も悪くない」
「阿部くんも悪くない」
ab「…戻るね」
少し視線を外した隙に、
彼は勢いよく立ち上がったので、
俺も焦って、距離をとっていたはずの彼を腕を、
とっさに強く掴んだ。
また異常なほどに拒否され、
掴まれた腕を激しく振り払った。
「阿部くん、ちょっと待って」
俺だって、全てに寛容になれるほど余裕なんてない。
…なんて言えなかった。
仕事をしたくても出来ない彼と、
休みたくても休めないメンバーとの間に、
溝が出ていくのは当たり前で、
俺がそれをぶつけてどうする。
ただ自分自身もキャパオーバーで、
思い通りに行かないことが多すぎた。
「おい、待てって。聞けよ！」
だから、自分の口から出た
言葉の硬さに、自分でも驚いた。
そして、その言葉は、
彼の中のなにかの引き金を引いてしまった。
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haryu(プロフ) - の！さん» の！さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです。ありがとうございます。励みになります！頑張って完結させたいと思いますので、もう少しお付き合いください！ (2020年6月13日 18時) (
レス) id: 70e445560a (このIDを非表示/違反報告)
の！(プロフ) - すごく大好きです。頑張ってください。 (2020年6月13日 0時) (レス) id: 919d8e7977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月1日 4時
