馬鹿にしないで[TOP4]

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「大丈夫すか。…あの、」

その女性はマスクをしていて顔は分からない。

だけど、見えてる目元だけで顔が整ってることは十分に分かった。

「あ、いや、ありがとうございます、」

キヨが怖いのだろうか。

ゆっくりと離れた彼女は首が取れるんじゃないかってくらい頭を下げた。

「誰かに用事すか。」

「あ、えっと、その、」

ここに来たってことは、何かを伝えにきたのかもしくはここにいる誰かのファンか。

派手な格好からしてスタッフでないことは確かだろう。

誰かのファンなのか？キヨの熱狂的なファンとか？

緊張しすぎてあんなに頭下げたり、言葉が上手く出てこないんじゃないか？

そんなことを考えながらキヨの方を見たままでいると、少し開いたドアの隙間、廊下からガッチさんの姿が見えた。

「モダンちゃん。」

ガッチさんはにこり、と笑いながらそう言った。

モダン、と言えば最近話題の女性実況者だ。

登録者は150万人を超え、男女関係なく人気のある実況者。

決して言葉遣いも悪くなく、聞いていて癒されるような声の持ち主。

彼女の実況を聞きながら眠ると深い睡眠が取れると噂もあるほど。

しかし彼女はプライベートを一切話さず、顔出しもしないためその実態は謎に包まれたままでいた。

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