馬鹿にしないで[TOP4]

オンとオフ ページ3

「…流石にこの格好じゃ駄目かな。」

バーベキュー当日、全身鏡の前に立ち自分の姿を見つめる。

学生時代のジャージ、地味なパーカー。

ほぼ家から出ない私はおしゃれにも無頓着で、外出用の服なんて数着しかもっていない。

久し振りに開けるクローゼットからこれでいいかと選んだ服に着替えてみる。

「…やるか。」

外に出るのなんて下手したら2か月ぶりとかになるかもな、と顔を洗いながら考えていた。

眼鏡からコンタクトに変え、メイクボックスから必要なものを取り出す。

濃くならない程度にメイクを施して、温めて置いたアイロンで少し色落ちした髪をセットしていく。

仕上げに香水を振って、完成。

「まあ、やらないよりマシか。」

同じように鏡の前に立った私は、時間を確認して外に出た。

千佳さんの家はここから20分ほどだけど、数回しか行ったことがないしちゃんとつけるかどうか心配だ。

これまた数か月ぶりの愛車に乗り込んで、住所検索でナビを設定しアクセルを踏んだ。

太陽の光は車内にまで入り込み、思わず目を細める。

美味しいものを食べられるのが楽しみだけど、家帰ったらすぐに寝てやろうなんてまだ終わってもいない後のことを考えていた。

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