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「はい。オムライスとメロンソーダ十個ずつです」
「ありがとうございます」
「助かります」
本来は六十万円の請求だけれど、オマケで五十万円で請求を切る。
二人もそれに気づいたのか、ただ一言お礼を言ってお店を去っていった。
見送るために外に出ると、日も落ちてきている。
腕時計を確認すると、時刻は18時を回る頃。
店先のライトの電源をつけ、ウェルカムボードの上に取り付けた三つの小さなライトもコンセントをさして光らせた。
ギャングお断りの文字が煌々と照らされる。
これでよしとドアを開けたその時、ドォォンッ！！と真後ろで大きな音が鳴ると共に、背中にものすごい熱風が降り注いだ。
「あっっつ！！」
爆風に押され、ドアに頭がたたきつけられる。
チリチリと皮膚の焼ける感覚に、自然と目からは涙が零れた。
急いで店の中に入ろうとするも、意識が朦朧としてくる。
そして店に入ることは叶わぬまま、店の前でバタリと倒れてしまった。
視界の端では、オレンジや赤の炎が轟々と燃えている。
そして近くまで飛んできている鉄塊を見るに、ヘリコプターが事故を起こしたのだろう。
痛い、なぁ…。
脳は冷静に考えようとするも、体には激痛が走っていて、意識を保つのにも精一杯。
遠くから聞こえる、「何やってんだ！！」という声もだんだんと聞こえづらくなってきた。
もう、落ち…る…。
「大丈夫っすかー」
ふと耳に、間延びした声が入ってくる。
痛む体を無理に動かしてそちらを見ると、青い鬼の仮面をした白衣の男が立っていた。
「だ、お…」
「アレ爆破させたの俺じゃないからね」
「知ってる…早く治して」
この街の病院の院長、らっだぁ。
私の幼なじみのこの人を、私は愛称として『らだお』と呼んでいる。
「えーっと、火傷と挫傷ね」
うっわ火傷やば、と服をまくりながら言ってくるこの男に怒る余裕なんて私には無かった。
アイスパックと軟膏が施され、最後に除細動器を使って体を起こされる。
この街の医者は凄腕が多いのか、はたまた使っている道具が良いのか知らないが、だいぶ痛みは引いていた。
「言っとくけど完治じゃないから安静にしなね」
「うん。ありがとう」
未だに燃えている道路を見ると、崩壊したヘリコプターは赤色で、医療用だということが分かる。
「ねえ、これ誰がやったの？」
「あー、エビオ」
「…やっぱりギャングは嫌い」
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作者名：春
| 作者ホームページ：
作成日時：2023年11月13日 23時
