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「あ、の……葛葉く…っ…」
恐る恐る葛葉くんの顔を覗き込むと、グイッと腕を引かれた。
強い力で抱き締められる。
「はぁぁぁ…緊張した」
「えっ?」
「いやー、人と話すのってあんな疲れるんだな」
「……そ、そっち…!?」
大きなため息と共に彼の口からこぼれたのは、私への怒りの言葉ではなくて人と話したことに対しての緊張の言葉。
あー、なんか最近はライバーさんとしか話してないって言ってた気がする。
そろそろ事務所に顔出さないと、って駄々こねてた。
まあでも…怒ってないならいっか。
「あの、ありがとう葛葉くん」
「んー?なにが?」
「なにがって…田中くんの電話」
腕から抜け出して葛葉くんの目を見ると、真っ赤な瞳がきゅっと細められた。
「田中くん、ねぇ」
「…?うん、田中くん」
そう言うと黙り込んでしまった葛葉くん。
(考え事…?ま、いっか)
まだ食べかけの食パンを咥える。
(あ、葛葉くん起きたしテレビつけちゃお)
有料サイトでアニメを見るか、YouTubeを見るか。
そんな事で悩んでいると、ふっと大きな影が私を覆った。
「……?」
サクッ。
「んむ……」
真上から覗き込んできた葛葉くんの方を見ると、私が咥えていた食パンの反対側を食べられる。
……お、お腹すいてた、の?
パンの反対側食べるって…え、少女漫画でも見ない胸きゅんのさせ方…てかもはや胸きゅんでもない…!?
「ず、ずはー…?どうしたー…?」
パンをお皿に置いて向かい合うと、ムッとした葛葉くんが。
「田中くんって同級生?」
「うん…まぁ…」
「ふーん…へぇー…あーそう…」
自分の隣に置いてあったクッションを抱きしめて、あからさまに機嫌が悪くなる。
これは多分…怒ってるというより、ヤキモチか。
それが分かると頬がゆるゆると緩んできた。
「んふ、ずはくん嫉妬?」
「はァ?」
「大丈夫だよ。私葛葉くん以外の男の人興味ないもん」
「ったりめぇだろ、生意気な」
ぐりぐりっとこめかみを指で抑えられる。
痛い〜、と笑えば葛葉くんは優しく頭を撫でてくれて。
「でもほんとに気を付けろよ。ああいうヤツは懲りねぇんだから」
「うん、分かった」
「ほんとかよ…」
「ほんと!…あ、ねぇパン食べる?」
「んや、いらね」
「えぇー食べないの?」
「Aが美味かったから」
「……バカ」
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hs - こんにちは!r18の作品のURLをコメント欄に貼ってもらえませんか?どうしても見れないので…これからも応援してます! (2022年9月17日 7時) (レス) @page50 id: 44092dc9d2 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - のんちゃんさん» ありがとうございます! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - ルカさん» 恐らく年齢設定の問題だと思われます…。18歳以上だと見れると思います…! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - スゥッ……久々にみた…てぇてぇ死んだ…………ありがとうございます┏┛墓┗┓ (2022年8月5日 8時) (レス) @page49 id: bbcbbc772c (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - 作品一覧を見ても全3件となっているのにr18の作品だけ非表示になってるんですけどどこで見れますか? (2022年7月16日 3時) (レス) @page27 id: 718c8c65a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年11月15日 0時