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「……」
「…え、動こうよ」
可愛いピンク色のエプロンをつけたまま固まった葛葉くん。
そしてその隣に立って横腹をつつく私。
料理を嫌がる葛葉くんを無理矢理キッチンに立たせたのはいいものの、それ以降動くことがなくなってしまったのだ。
「なんでAが黒エプロンなわけ?」
「葛葉くんにピンク似合うと思って」
「交換しろ!!」
「やぁだ!」
結局小競り合いが始まって、キッチンからリビングまで移動してしまう。
ソファに倒れ込んで、頬を掴んでおでこを合わせて。
「…ご飯作んなきゃ」
「もういいじゃん寝よう」
「一緒に作ろ?」
「………寝てからなら」
「だめ」
今寝たらご飯に間に合わなくなるし、それにやる気だってなくなっちゃう。
葛葉くーん、とほっぺをむにゅむにゅと揉みしだくと、ゆっくりと上半身を起こした。
「教えるから!ほら、ね?」
「不味いの出来ても責任とらねぇかんな」
「大丈夫大丈夫!」
伸ばしてきた手を引っ張り、再びキッチンに戻る。
今日はハンバーグを作ってさらに作り置きもするから、ひき肉と玉ねぎとパン粉、あと卵をテーブルの上に出した。
「葛葉くん、ボウル出して」
「ボウル…これ?」
「銀のやつ。そうそう、それ」
「じゃあ玉ねぎ切ろっか」
「エ。切ってよ」
「葛葉くんもやろう」
「えぇーー」
またやだやだと駄々こねる葛葉くん。
思ったより時間がかかりそう。
とりあえず私が皮をむいて半分に切ってみる。
まな板の上に半分の玉ねぎと包丁を置いて、どうぞ、と言えば葛葉くんは困惑しながらも包丁を握った。
猫の手…と呟きながら左手をグーにして包丁を玉ねぎに通す。
ダン!と切れたそれはコトン…と倒れた。
「お、おー…」
「だからやんねぇつったのに」
「教える教える!!」
まずはね、と包丁の握り方から教えて、切る場所から野菜の持ち方まである程度のことを教えれば、もう一度チャレンジ。
猫の手にはするけれど意識はしすぎずに、指にそわせるように包丁を置いてゆっくりと刃を通す。
そうすれば玉ねぎが細く切れた。
それを続けて細切りにしてもらったところで私に交代する。
玉ねぎを90度回転させて小さく刻んでいく。
食感は少し残したいから粗めのみじん切りだ。
「もう無理。もう絶対やんねぇ」
玉ねぎのせいで涙を流す葛葉くんが私のお腹に腕を回した。
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hs - こんにちは!r18の作品のURLをコメント欄に貼ってもらえませんか?どうしても見れないので…これからも応援してます! (2022年9月17日 7時) (レス) @page50 id: 44092dc9d2 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - のんちゃんさん» ありがとうございます! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - ルカさん» 恐らく年齢設定の問題だと思われます…。18歳以上だと見れると思います…! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - スゥッ……久々にみた…てぇてぇ死んだ…………ありがとうございます┏┛墓┗┓ (2022年8月5日 8時) (レス) @page49 id: bbcbbc772c (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - 作品一覧を見ても全3件となっているのにr18の作品だけ非表示になってるんですけどどこで見れますか? (2022年7月16日 3時) (レス) @page27 id: 718c8c65a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年11月15日 0時