吸血鬼さんと人間さん【kzh】

・ホワイトデー ページ43

自宅に帰れば、すぐに紙袋をAに渡した。



なになに？と興味深そうにラッピングを開ける姿が可愛くて、悶絶する。



「おぉ、マグカップ！」



「…ほんとはチョコも買ってたけど、あれがあったから諦めた」



「うぐっ…ご、ごめん…。でもマグカップ嬉しい！ありがとう」



ホワイトデーと言えばお菓子、とかいうイメージあるけど、ようは感謝伝えればいいんだろ？



じゃあ物でもよくね？



そんな思考に陥った俺は、某雑貨店で叶と一緒に見たマグカップを買ってラッピングしてもらった。



まあ叶も自分の好きな物買ってたみたいだし、win-winってことで。



「で、何ナンパされてたわけ」



「んー…なんか、信号待ちしてたら話しかけられて、腕引かれてあの場所に連れてかれた…みたいな？人気はあったし、平気だったよ」



「……俺が平気じゃないんだけど」



「ごめん…。でもちゃんと断ってたよ。彼氏いる、って」



「ほーん…彼氏、ね」



「あ！喜んでるでしょ」



「…まあ」



マグカップをくるくると回しながら観察するAの頭に手を置いて、優しく撫でる。



ゆっくりと動かせば、心地よさそうに目を瞑って。



(あー、キスしてぇ)



少し薄めの唇に、ピンク色のリップ。



ツヤツヤとしたそれに自らのものを当てれば、Aは驚いた顔をしてこちらを見た。



「これもお返し？」



「…そういうことにしとく」



「わっ…！へへ、もう葛葉くんー！」



Aの手からマグカップを奪ってテーブルに置き、ソファに押し倒す。



満足気にニヤリと笑えば、彼女も同じような表情をした。



(なんか、ホワイトデーなのに俺が貰ってる気分)



「いいよ、葛葉くん」



「……ばーか。俺を誘うのなんぞ100年早いわ」



「葛葉くんがそれ言うと本気なんだよなぁ」



「100年生きてみろよ」



「私なら生きれちゃいそう…っん…」



再び触れ合った唇に、俺たちは言葉を失う。



ただ、気持ちだけが通じて。



愛してると全身で伝えるように口を重ねた。







.







ホワイトデー……？
あんまり関係ないですね…すみません

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