四十枚目 ページ42
とりあえずここから脱出する流れなったわけだが、そう簡単に行くものか
『二人とも』
「?なに」
『ここ、船の中だよ。まだ停泊中だけど』
「なっ…」
鹿月はドアを開ける
ここは甲板の一部に作られた部屋だ
鍵もかけられている
『運よくここから出られれば逃げられるかもしれないけど』
はしごに腰掛けて上を見上げる
今の状況には似合わない綺麗な青空だ
「見張りも必ずいるだろうし…どうする」
『……そこはまあ、それぞれの専売特許があるだろ?』
「?」
『ね?白雪』
僕は備蓄を漁っていた白雪に声をかける
彼女が手にしていたのはチトカの種。良く食糧にされるものだ
「……うん。もしかしたら上手くいけるかもしれない」
「え、本当!?」
『じゃあ実行しようか』
僕は部屋のカンテラを取り外して白雪に渡す
「流石、良く薬室に来るだけあるね」
『白雪が楽しそうに読んでる本を僕も読んだだけだよ』
君が見る世界は暖かで穏やかだから
種を燃やして、大量の煙が部屋を支配する。時期に部屋から漏れ出る煙に気付いて、見張りが慌ててやってくるだろう
僕らはそれを隠れて、鍵が開くのを待つのだ
(ほら来た)
慌ただしく階段を降りる足音が聞こえてくる
「げほっげほっ、なんだこの煙…!」
「前が見えねえ…!」
「おい鹿月…!!」
案の定素直に来てくれた二人の背後に静かに近づき
『ふ…!』
二人の後頭部に衝撃を加えて、気絶させる
呆気なく倒れた二人を部屋に閉じ込め終了だ
「すげぇ〜…上手くいった。なんなの?これ」
「この種は食用なんだけど、燃やすと一時的に大量の煙が出るの。上手く行けば武器になるかなって」
『流石、薬剤師様』
「見習いですがね」
賞賛を送る僕と、笑う白雪を交互に見て鹿月は問いかける
「白雪ってクラリネスで何してたの…?」
「え、宮廷薬剤師見習いだよ?」
「それって自分でなりたくてなったの?」
「そう、だけど」
鹿月は不思議そうに白雪を見つめた
『白雪は、嫌々宮廷にいるわけじゃないんだよ』
君と違って。と付け足すと鹿月は恐る恐る僕の顔を伺う
「っ…なあ、もしかして、白雪連れ去ったこと、結構怒ってる?」
『さあ?』
おや。随分と勘が良くなったもんだ
これも環境と指導の賜物だな
「その顔は怒ってるじゃん!本当にごめんって!」
『謝るべきは、僕じゃないだろ鹿月』
「うぅ…」
全てが終わったらみっちり怒られるだろうから、今何も言わない僕は優しい筈だ
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
