三十二枚目 ページ34
抱きしめられて身動きが取れないことを良いことに、彼は僕の首に唇を寄せる
びくりと肩が揺れるが、オビはそれでも離れない
『何もしないんじゃ?』
「突然目の前現れて、こちとら感情ぐちゃぐちゃなんだよ。これぐらい許してよ」
もっと強く抱きしめられる
『外野がうるさいんだよ。それに君は仕事中だろ』
「折角の再会なのに」
『僕と君は恋人じゃないだろ』
そう言い放つとオビは少し体を固くする
その隙に腕の中から逃れて、置きっ放しの画材の元へ戻る
「恋人じゃない、か。確かにねぇ」
オビが辛そうな顔をしているのに気づかないフリをする
ーー
「ー…──…?」
「──…」
(この声、ラジ王子と白雪…?)
今日の場所は書庫。どうやら彼女達もこの場所だったみたいだ
そういえば王子が最近国政を進んで学んでるとかなんとか
(なるほどね…まあ今の所なんともないみたいだな……明日は城下に行って、情報収集でもしようかな)
「──!」
「──!?」
『ん?』
近くで声がする
見てみるとロナ姫とユジナ王子だ
また、覗きに来たのだろうか
「ユジナ!聞いたでしょう?」
「うん」
「白雪さんは帰すべきじゃないわ。側に置くよう兄様を説得しないと」
『それはダメですよ』
「「!!」」
僕に気づいてなかったのか二人は勢い良く振り返る
気持ちはわかるけどそれはダメなんだよね
『白雪様はダメです。ねぇ?オビ殿』
「えぇ」
後ろにいたオビに問いかけると彼も頷く
「何故?兄様の所へ迎えられるより良いお話でもあるのかしら」
僕とオビは顔を合わせて、肩を竦める
どういえばいいものか
「どうなの!?」
「お前達またかっ!!」
そこにラジ王子が介入する
とりあえず場は収まりそうだ
「いつの間に?」
白雪は説教される二人を横目で見ながらこちらに来る
『ついさっきだと思うよ』
「よく気づいたね?」
「お姉さんが先に見つけたけどね」
視界の下の方で何かが動いた
見ればロナ姫が白雪を押そうとしている。それはいただけない
『白雪様、こちらへ』
「えっ、きゃっ…!?」
白雪の手を引いて、オビの方へ投げ、ロナ姫と離す
そして、姫が押そうした対象がいなくなってバランスを崩した所を抱きとめる
『ダメですよ姫。イタズラは』
「う…ごめんなさい」
その後、彼女達はラジ王子に引きずられて外へ出て行った
元気なのは子供の証拠だ。適度に見守ればいい
まああれでラジ王子は可愛がっているのかな
『可愛いな…小さい子は』
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
