二十九枚目 ページ31
『じゃ、僕はもう行くから。買い物済ませたいし』
「画材買うのかい?」
『まあ、そんなとこ。絵の具で足りない色もあるし』
オビに嘘を付くのは少し憚れるけど、今のこんなぐちゃぐちゃした感情のままじゃ彼に過去の事を話したくない
「サク、ちょっと」
巳早は僕を引っ張って、オビから離れた所へ行く
これじゃあ怪しさ倍増なんだけど。ねえ、オビ睨んでるよ
「お前、あの山猫に話してねえの?」
『話す義理がないからだよ』
「うっわ黒猫さん冷徹〜」
『いいから君は早くオビと一緒に鹿月を探せ!』
「い"って!!」
頭を思い切り叩いて話を切り上げる
頭割れたって?気のせいだよ。そんな強く叩いてない
『ごめんオビ。時間割かせて』
「いやいや…お姉さん力意外と強いのね。まあ、山猿のおもりが今の俺の仕事ですんで。それに…」
オビは微笑みながら、僕の髪に触れる
「サクに会えたし、今日はこれで頑張れる」
『また君はそうやって…』
「最近口説いてないから、これぐらい良いでしょうに」
「え、こいつらってそういう…?」
ーー
タンバルンに行くのを明日に迎えた僕は、今日も誰も使わなくなる夜間の稽古場に向かう
だけど今日は先客がいた
『ゼン王子』
一人で一心不乱に剣を振るっている
白雪も明日出発だからだろうか。雑念が見て取れる
『……』
僕は模造の剣を取って、王子に向かって襲いかかる
「っ!?」
『あ、ちゃんと周りは見えてるんだ』
「サク!?」
驚く彼と向き合って、もう一度剣を構える
『側近達が来るまで、お相手お願いしても?』
「いいのか?兄上からは」
『その兄上からの命令で、僕もタンバルンへ行きますから…っふ!』
踏み出して、上段から剣を振るう。王子はそれを難なく受け止めつつ、僕の言葉に驚いた
そういえば知らせて無かったな
「本当か…!?」
『うん。僕も戝から狙われててね』
「…それは笑って言うことか?」
間合いを取って真っ直ぐ彼を見る
『だから僕も影から支えるよ。第一王子付き護衛役としてね』
「頼もしい限りだな……そうか、お前も行ってくれるのか」
ホッと息を付く彼にやっぱり言って良かったと思う
「じゃあ、白雪と一緒に?」
『まさか。僕はあくまで画家だ。夜明けとともに出て行くよ』
「…気をつけてな」
『勿論っと…もう来た。じゃあねゼン』
側近三人の足音が聞こえたので、模造刀を元の場所に戻して、僕は外へと逃げ出す
「今名前…。はは、本当に頼もしい限りだ」
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
