二十三枚目 ページ25
「じゃあ、僕は行くから」
真剣みを帯びるオビの顔が見れず、顔を逸らす。そろそろ行かないとマズイのは本当なので、取られた手を振り解いて背を向ける
『…っ』
だけどそれは叶わなかった
『オビ…?』
「こんなの反則でしょ…」
再び距離が近くなって、今度は囲われる
「あの人の所に行かせたくない…」
はあ、とオビはため息をついて僕を強く抱きしめる
声音がどこか拗ねていて、抵抗しにくい
「サクさん、このまま聞いて」
『……』
「この前の…ごめん。軽率だった」
耳を疑った
「あんたが俺のことちゃんと知ってから、返事を聞くつもりだったのに、いきなりキスしてごめん。俺、結構我慢強い方だと思ったんだけどなぁ」
そうは言うけど、その要因は僕のせいでもある
なのに、先に謝られるなんて
『君のせいじゃなくて、僕に自覚が足らなかったんだよ』
「それは違う。俺がもうちょっと自制出来てれば…」
『だからそれは…』
「いや、俺のせいで…」
「『…ふはっ』」
同時に吹き出す
これじゃあキリがない
『この場合、おあいこかな』
「かもね」
オビは僕を離して、向き合う
彼の表情はとても優しくて、心に甘い痛みを残す
「…サクさん」
『サクでいいよ。さん付けされると居心地が悪い』
「でも、ミツヒデさんは…」
『あれはもうダメ。全然治らないから』
僕が何度言っても、年上だからと聞かない
ゼン王子は良いのに僕はダメなのかと言ってもだ
「じゃあサク嬢?」
『嬢と呼ばれるような年齢じゃないんだけど』
「うーん…まあ、通常はお姉さんでいっか」
『なんでもいいよ。嬢とか姫とか変なのじゃなければ』
そしてハッと思い出す
そうだイザナ殿下待たせてるんだった
『まずい…早く行かないと。殿下にペナルティ付けられるのはごめんだ』
「あ、そういえば呼ばれてるんだっけ」
『ごめんオビ、それじゃあ…!!』
「待ってサク」
『っ!?』
オビは走り出そうとした僕の手を取ったかと思えば、抱き上げる
見上げると悪戯っぽく笑って
「こっちの方が早いっしょ」
そう言った
ーー
「随分機嫌がいいな?」
『…別に』
外から聞こえてくる音楽に乗せてくるくると、静かな執務室で回る
初めてこの人と踊った時に比べれば上手くなった方だと思う
『いつまで続けるんですか、この遊び』
「俺が飽きるまでだ」
『さっさと飽きてくれると助かります。僕はしがない画家で護衛なんですから』
「それを決めるのは俺だ」
『はぁ…』
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
