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虎と調教師 ページ22

もうこれ以上何も言わないでほしい。それが哀葉の心境だった
今でさえ恥ずかしくて死にそうだというのに、これ以上あの情景を思い出させるような発言はまさしく致死量だ
思い出しては体が震えてしまって、体の奥のなにかがずくり、と疼くのだ

「あれ。哀葉?拗ねた?」

『……今、お前と話してると、声の戻し方分かんなくなりそう』

少しばかりの嫌味を込めて放った言葉。そのはずなのに何故か虎石は嬉しそうな顔をしている
なんとなく、また余計なことを言われそうな気がして、哀葉は距離を置くために立ち上がる。けれど見逃してくれるわけがないのが虎石だ

「それはこういうこと?」

『えっ…!?っ、ひゃ、んっ』

立ち上がろうとした腕を掴まれ、虎石の腕の中に抱き込まれる。身動きが取れないように足も絡めることも忘れずに
昨日発覚した、彼女の弱点である耳を息でくすぐれば甘ったるい声が漏れる。それに比例するように虎石の吐息も熱を帯び始めたことを悟った哀葉は脱出を試みる…が、先ほども言ったように足が絡んでいて無駄な抵抗といっても過言ではない

「あー…やべ、ちょっと盛り上がってきちまった」

『和泉っ、いい加減にしろ…!!』

「別にいいだろぉ?まだ時間はあるんだし…んー、んむ」

虎石からの口づけは抱き込まれた人物の手によって制される。不服な虎石はべろり、と己の唇を塞いだ手のひらを舐め上げるが、哀葉は真っ赤になりながらも手を離す気はない
あの時は流されたが、今は流される時じゃない。哀葉は自分の持ちうる彼への抵抗の中から、もっとも嫌がられるものを選んだ

『"虎石"』

「げっ…」

『"やめろって言ってんのがわかんねえのか"』

「っ…あ"――ッはいはい!!やめる!やめさせていただきます!!だから愁の声で説教すんな!!」

虎石はしびれを切らし、哀葉から離れる。彼女はニッコリと笑って自分の崩れた身なりと、虎石のYシャツのボタン、ネクタイを整える
虎石にもっとも効く抵抗は、空閑の声をまねることだった。空閑が説教しても聞かない虎石だが、惚れた女から幼馴染の声が発せられるという屈辱はなんとも耐えがたいのだ

『ふふ、いい子』

「…そーいう時だけ、女の声すんのズリーわ」

『和泉は飴もないと拗ねるからね』

哀葉はまた満足そうに微笑んで、軽い朝食の準備をするためにキッチンへと引っ込んだのだった

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設定キーワード:スタミュ , 虎石和泉 , クロスオーバー   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:春月 | 作成日時:2018年1月20日 23時

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