外伝集 (ページ27)

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【赤髪】惚れ薬⑥ ページ27

『治った…!!』

「良かったね」

「そうだな」

ミツヒデの前に立っても何も反応が起きないのを確認して、サクは喜ぶ
一応念のために木々も付き添っていたが、心配は無かった

「しかし、惚れ薬とはな…」

『昨日は悪かったよ。いきなり殴ったりして』

「いやいい。仕方が無かったと思えば平気だ。兄上にも事情は話していたみたいだしな」

後頭部をさすりながらもゼンは平気だと笑う

「で、あの後オビとは?」

『会ってない。部屋に戻った時にはいなかったし…』

「おはようござまーすっ…ってあれ、お姉さん」

「噂をすれば、だな」

いつもと変わらない緩い声と共に執務室に入ってきたオビ
サクは少し距離を取る

「そういえば昨日、気がついたらお姉さんの部屋で倒れてたんだけど…何か知らない?」

『………さぁ』

薬の効果にかかってる間の記憶はないため、不思議がるのも当然だ
サクの返事はそっけない

「…木々嬢、俺なんかしましたかね」

「したね。色々と。それはもうあんな事からこんな事まで」

「え"っ」

『…木々』

サクは咎めるように木々の名を呼ぶ
オビはというと余計に混乱していた

「……って…お姉さん、その首の、何」

『!!』

バッと隠すが遅い
オビはサクを連れて出て行く
その行動に主と臣下は呆れ気味だ

「自分で付けたのにね」

「確かになぁ」

「で、何?それ。俺が見る限りキスマークにしか見えないんだけど」

誰も使っていない部屋に連れ込まれ、問い詰められる
オビが自分自身に嫉妬しているなんて誰が考えるだろうか

『そうだね』

「そうだねって、あんた、なんでそんな冷静なの。誰にやられたのか聞いてるんだけど」

『……誰って』

サクはしゅるりとリボンを取って、ボタンを外して行く
首元にまで広がる紅の花にオビは息を飲む
同時に怒りがフツフツと湧き上がる

『君だよ』

「へっ」

『だから、君がやったんだよ、これ。覚えてなくて当然だけど』

「お、俺…?」

動揺を隠せないオビに対してサクは冷静だ

『あぁでも、最後までは進んでないから。服脱がされそうな所で木々が来たから』

「え、ちょ…どういうこと…!?」

『説明終わり。もう戻るから』

サクはボタンを止め直して、扉を開ける
去り際に一言のこして

『今度は、ちゃんと夜に夜這いに来てね?オビ』

ふ、と笑ってサクは出て行く
残されたオビは真実が分からずじまい

「な…えぇ…どういうこと…?」

この後当分、サクはオビを避けたそうだ