外伝集 (ページ26)

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【赤髪】惚れ薬⑤ ページ26

「これで夜まで耐えれば平気よ」

『まあ、徹夜せずに済むのはいいけど』

サクは蓋を開けて薬を煽る

「どう?」

『いや、夜にならないと分からないから。残り時間は…』

「後3時間って所かしらね。日が暮れ始めたし、白雪くんはサクについてあげて」

「わかりました」

ガラクは部屋を出て行った
二人はとりあえず白雪の部屋に向かうことにした
木々に書き置きを残して、部屋に向かう

けれど災難はサクについてまわる

「白雪?」

「ぜ、ゼン…!!」

正面からゼンが姿を見せる
サクは慌てて白雪に背に隠れた

「?後ろにいるのはサクか?」

「え、えーっと…」

白雪も必死に庇うが少し無理がある

(これ以上白雪に迷惑かけるわけにはいかないか…)

サクは一人でに頷いて、白雪の影から出る

『ゼン、悪いけど寝てもらうよ…!!』

「なっ、ぐぁっ…!?」

ゼンの視界に確実にサクが移る前に、彼女はゼンの意識を奪う
倒れたゼンを支えて、サクは一息つく

『ごめん白雪…ゼンを殴って…』

「いやいや…寧ろホッとしてしまった…」

二人は顔を見合わせて笑う
とりあえずゼンはこのままにして置くわけにはいかないので、木々の部屋に置いて行く
流石に廊下で倒れていたら大事になってしまう

部屋に着く頃には二人はクタクタだった

『これほど廊下を通るだけで気を張るのは初めてだよ』

「わ、私も…」

通りすがる兵や執事に見つからないようにするのは骨がいる

『もうこの時間になれば部屋を訪ねてくる奴はいないだろ。もう寝ることにしよう…』

「そうだね。色々動き回ったから疲れたよ」

『じゃあ、僕は椅子で寝るから』

「いやいや、ベッドで寝ないと」

『白雪に風邪引かせる訳にはいかないんだから仕方ないだろ。大丈夫だよ、慣れてるから』

「だめだってば」

数分にらめっこをした後

『じゃあ一緒に寝る?』

「そうしよっか」

これに落ち着いた
散々な一日ではあったが、今だけはいい日だとサクは感じていた

「なんか、小さい頃に戻ったみたい」

『あれ、覚えてないんじゃ無かったっけ』

「最近ね、夢を見るんだ。サクと私が一緒に遊んでたりする夢。もしかしたら忘れてた記憶が夢になって出てきたのかなって」

『……そう』

「……サク照れてる?」

『照れてない』

「またまたー」

『しつこいよ』

こうして一日が終わり、翌日になって薬の効果も切れていた