外伝集 (ページ25)

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【赤髪】惚れ薬④ ページ25

サクはソファに腰掛け、息をついて自分の首元に手を置く
自分では見えないが、数ヶ所痕が残っている

『オビと暫く顔を合わせられないな…』

向こうがその気でなく、薬のせいで迫られたとしてもサクにとっては気まずい
相手は好いている男であり、そうなっても彼ならいいと思える相手だ
嫌では無かった。けれど、勢いでしたくはなかった
そんな気まずさがサクにはあった

『あぁもう…オビのバカ…くたばれ』

そんな毒も彼には届かない

「サク?いる?」

扉がノックされる
入って来たのは白雪だ

「大丈夫?なんか、オビに襲われたって…」

『あー…うん。木々が止めてくれたから、何も始まらなかったけど…「あっ!」？』

「その首筋の、鬱血してる」

『あ、やっぱりか…』

「サク、手当するから見せて」

『ん?』

見当違いな言葉にサクは頭を捻る

『白雪、これ怪我じゃないからね?』

「でも内出血してるでしょ。オビに首しめられたとか」

『あーっと…白雪…襲われ違いだ』

どうやら白雪はオビにサクが怪我を負わせるような暴力を振るったという解釈をしたようだ
どう伝えようかサクは考えるが、直球じゃないと伝わらないのは目に見えていた

『あの、さ…襲われたって言っても暴力を振るわれたとかじゃなくて……その…』

「？」

『これ、俗に言うキスマーク…だから』

「………えっ!?」

『だから、襲われたと言ってもそういうのじゃないから』

分かった?とサクが聞くと、白雪は自分の髪の色ぐらい顔を赤く染めながらコクコクと頷いた
意味を理解したようだ

「ご、ごめん…そうだよね。惚れ薬だから暴力じゃないよね…」

『いや、白雪には縁がないから………多分』

双方とも頬を染めて、オロオロしているとガラクが訪ねてきた

「大丈夫?オビくんに襲われたって」

『……元はと言えばガラクのせいだよ』

「いやぁ…ごめんごめん。当初の目的はサクを白雪くんに惚れさせでもして、殿下やオビくんの反応を見るつもりだったんだけど」

『なおのこと悪い』

サクはバレッタを外して髪を下ろす
痕が見られないようにする防止だ

「それで薬室長はどうしてここに?」

「あぁそうそう。解毒剤とまではいかないんだけど、効力が切れる時間を一日から半日にする薬が見つかったから渡そうと思って」

『そこは解毒剤見つけてよ…』

まあいいけど、とガラクから薬を受け取る