外伝集 (ページ16)

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Ｌ続きページ16

『げ…』

思わず声が出る
正直言ってファランギースに勝てた試しがない
彼女は酒豪の中でも化け物級だと私は思っている

「どうした総都督殿?まさか、私の酌を断るわけではないじゃろうな?」

『……お前ね…はぁ…エラム、アルフリード、二人に毛布でもかけてやってくれ』

二人にそう指示して、ファランギースからの酒を受け取る
これは完全に負ける。彼女もそれを分かって勝負をしかけている

「そうじゃ、ギーヴも混ざるが良い」

「え、俺も…ですか」

珍しい申し出にギーヴは目を見開く
多分だけど私の介抱役だろうか。それか、潰しにかかりたいだけか

『…死ぬなよギーヴ』

「お前こそ」

ーーー

『……ぅ～…』

「大丈夫か、ルナ。かく言う俺も…平気ではないが」

現在、ギーヴの肩に寄りかかっている
わかるだろうけど敗北だ。それも惨敗
幸いしたのは酒癖が悪くない事だろうか

「ルナよ、負けたのじゃから私の言うことを聞いてくれるな?」

『そうなるよね…』

ナルサスとダリューンが潰れ、エラムとアルフリードはいままでの疲れが溜まっていたのか熟睡
アルスラーンは微笑ましそうに私達を見ている
お願いだから止めてくれ

「ギーヴよ、おぬしの花を借りるぞ」

「たとえファランギース殿でも、ルナに変なことをしたらただじゃおきませぬぞ」

「安心せい。悪い様にはせん」

ファランギースに連れられ、私は部屋を出て行く

『こうなることはわかってた…』

「やはりおぬしの方が似合うの」

彼女に渡されたのは露出の高い服
背中は隠れる様だけど、それでも露出が高い
元々は彼女が男からもらった物だというのに

「ではおぬしの恋人の元へと参ろうぞ」

『はぁ…』

部屋の扉を開けると、アルスラーンとギーヴが談笑していた
珍しい光景だなぁと思っているとギーヴと目が合う
ドクリと心臓がうるさくなる。見つめられただけでこのざまだ

「ルナ、その姿は…」

『これは…その…あの、あまり見ないで…』

思わずしゃがみ込んで顔を隠してしまうほどには恥ずかしい
アルスラーンやナルサスは平気なのに

「少し咲き誇りすぎではないか、ファランギース殿」

「じゃが、悪くはないじゃろう?」

「わ、私も可愛いと思うぞ」

アルスラーンの褒め言葉は素直に嬉しい
顔を上げようとするのと

「来い」

ギーヴに抱き上げられるのはほぼ同時だった
あぁもうその爽やか笑顔はやめて

この後私たちが戻ることはなかった