愛はそこに ページ4
恋は人をおかしくする
男性が苦手だったはずの私は、盲目的に恋をした
過去の自分がみたらどう思うだろうか。彼の言動と行動一つ一つで感情が入れ替わる様を
軽蔑するか、苦笑いか。何にせよ素直に祝福はしないのかもしれない
ギーヴに慰められて、どのぐらいの時間になっただろうか
もう辺りは真っ暗で、ギーヴ以外私の視界には入ってこない
『……真っ暗』
「む、そんな時間か。随分長居してしまったようだな。抱き上げたまま移動しても構わないか?」
『嫌だと言っても、そのまま進むつもりでしょう』
「おや、お見通しか」
彼は私を抱き直して、ゆっくりと歩き出す
恋人にこんな事をいうのは可笑しな話かもしれないが、どこか父親と同じ安心感を覚えてしまう
『……それはそうと、なんで私がシャガードの所へ行くって知ってたの?ついてきてたのは知ってたけれど』
「あぁ、ナルサス卿がな。ペラギウスの件の後、お前がシャガードの元へ向かったと聞かされたのだ。正直、肝を冷やしたぞ」
『へ…』
彼の表情を伺うと、不満げな顔をしていた
さらには私の反応にため息まで吐き出した
「こんな夜更けに一人であの男の元へ行くなど不安になるだろう。俺は恋人という立場にいるが、古く親しい友人にはなれんのだからな」
『……』
そんなことを言われるとは思わずにポカンと間抜けな顔を晒してしまう
同時にジワリと嬉しさがこみ上げてしまう
だって、そんなこと言われてしまったら、今の私は調子に乗ってしまうのだから
「おいルナ…っ」
『ふ……どうしようギーヴ。嬉しくて、貴方に口づけをしてしまいそう』
「…もうしてるだろう。この短時間で態度が変わりすぎではないか?」
『いやだった?』
「まさか。お返しとして口づけを贈りたいと思った程嬉しく感じたぞ」
ギーヴは再び二人の距離を埋める
「これからは、素直に言葉にしてくれ。二人きりの時でも、勿論人目をはばからずともよい」
『流石に二人の時だけにするけど…!?』
「ははは、冗談だ」
私の頬を撫でて、私が好きな笑みをこぼす
もう私も、ギーヴも不安はない
「さて、いい加減帰らねばな」
『そうね。明日も早い事だし』
私はギーヴの体を預け、瞳をそっと閉じる
大好きな花の香いと暖かな体温。彼と恋仲になってから一番心が安らぐ時だった
月明かりが、私達の帰路を照らしてくれていた
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奈那 - 完結おめでとうございます!最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております! (2023年2月8日 16時) (レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした!ありがとうございます!Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2017年9月27日 10時