月と詩 ページ20
──パルス歴 XXX年
「ペルールーっ!」
赤毛の少女が豪勢な廊下を駆けていく。その少女が向かう先は、のんびりと空を見上げる一人の男性…いや、女性の元だった
『おやアルフリード?どうしたんだい』
「どうしたもこうしたもないよ!時間迫ってるんだってば!」
アルフリードはペルールの腕を掴んで強引に引っ張っていく。その状態にペルールは苦笑しながらもされるがままにいた
『まだ平気…』
「準備に時間かかるんだからっ」
『はいはい』
ペルールはくすくすと笑う。その笑みは周りにいた兵をざわつかせるようなものだとは知らずに
アルフリードに引かれるままやってきたのは広い客間。そこには、きらびやかな婚礼衣装とその他道具が揃えられて、使われるのを今か今かと待ちわびている
客間には既にファランギースと数名の侍女が立っていた
「随分と遅い到着だなペルール卿」
『まだ大丈夫だと言っているのだがなぁ。幼馴染に言われては仕方がない』
ペルールは仕方がないと笑ってファランギースが促す椅子へ腰かける
「さて、気合を入れてめかしこませて貰うぞ?ルナ」
『…はぁい』
ーー
「そ、そろそろだな…」
「陛下が緊張してどうされます。今日の主役はギーヴ達ですよ」
「そうなのだが…」
そわそわとする我が国の王に側近のナルサスは苦笑する。今日の主役は言ったようにあくまでもギーヴ達。なのに、当人たち以上に緊張している国王は他から見ればおかしな人だろう。だが、それこそこのパルスを統治する王 アルスラーンなのだ
「そうそわそわされなくとも、我が月は逃げません。安心してお座りください…殿下」
ギーヴから紡がれる懐かしい響きのそれにアルスラーンはようやく落ち着きを取り戻し、席に着いた
かつての仲間たちは花嫁の到着を今か今かと心待ちにしている。だが、その他の万騎長や諸侯、兵達はこの場の中央にいるギーヴと会場の雰囲気に戸惑っていた
「さぁ皆!準備出来たよー!」
そんな中、やはり元気に入ってくるのがアルフリードだ。その後に続いてファランギースも入ってくる
そしてその後ろからしずしずと歩いてくる女性は──…
「──あぁ。今日は一段と月の光がまぶしいな」
『褒めても何も出ないよ。…詩の調子も良さそうだね?』
「これは光栄。我が女神。さぁ、誓いの覚悟は出来ているか?」
『えぇっ勿論!』
私たちの物語は、これにて閉幕
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奈那 - 完結おめでとうございます！最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております！ (2023年2月8日 16時) (
レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした！ありがとうございます！Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年9月27日 10時
