出兵の折 ページ17
翌日。エトワールから細かな経緯を聞くこととなり、アルスラーン、ナルサス、ダリューンはバルコニーにあるテーブルを囲んで話し合いを始めた
私は面倒なので行かなかったけど、どうせ決めるのはアルスラーンだ
「はっ、はぁっ、あっ!ペルール様!」
『エラム』
慌てた様子で彼が走ってくる
何かあったらしい。エラムと共にバルコニーへと出た
すると
「アンドラゴラス国王が、エクバターナに向けて出兵されたとの事です…!」
「何っ!?」
『あの暴君やりやがったな…』
ー・ー・ー
「エクバターナへ、出陣しよう…!」
「「『!!』」」
信頼の置ける仲間たちを集めての会議でアルスラーンは開口一番そう告げた
「しかし兵力は…」
「あぁ。五万にはかなり足りないな」
アルスラーンは苦笑する
『そもそもあの暴君の要望が厳しいのだ。無理な要求に全て答えなくていいのだよ』
「一応聞いておきますが、放っておいた方がこちらにとって好都合という考え方もあるのでは?」
「ありがとうペルール、ギーヴ。だが、我々はあくまで国王に従うパルス軍だ」
それは否定が出来ない。物凄く嫌だけど
「その上で、私はこう考えている。狂信と偏見は何よりもその国の人間を損なう。そのことをルシタニア人にも分かってもらえればいい」
「敵を殺さない。ということですか」
「全てを殺し尽くそうとは思わない。彼らが、パルスを出て行ってくれればそれでいい」
彼らしい考え方だ
だから、今ここに私たちはいる
「……父上は一切の容赦をしないだろう。だがそれでは、同じ悲劇の繰り返しになってしまう。万が一の時、父上を止められるのは我々だけだ…!」
『我々、ね』
「ダリューン、ナルサス、ペルール。私なりの父上とは異なるやり方があるはずだ。そうであろう」
彼の瞳は強く、訴えかけている
「仰せの通りです。殿下」
「ならばそれが結果として、エトワールの提案と似たものになっても良いのではないか?」
アルスラーンは兵に扉を開けるように命じる
そこにいたのは、エトワールだった。どうやら全て聞いていたみたいだ
「それは、その娘の申し入れを受け入れるということですか」
「あくまで結果だ」
アルスラーンはそう言って、戸惑い気味のエトワールに笑いかけた
『ふ、ははははっ!一杯食わされたなぁ!天才軍師!』
「確かに、してやられたなナルサス」
「……ふ。殿下の言葉この上もなく存じます。かの騎士見習いの申しようをもって、我々の記法方針と致しましょう!」
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奈那 - 完結おめでとうございます!最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております! (2023年2月8日 16時) (レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした!ありがとうございます!Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2017年9月27日 10時