ギラン最終戦 ページ12
「では、手筈通りに頼むぞ」
『はん、私を誰だと思っているのだ。お前の策通りに動けなかったことは一度もあるまい』
敵に気づかれないようギランに戻り、作戦通り行動を開始する
ナルサスはこの後ゾット族と合流し、敵の背を叩く
私たちは港町にいる兵と共に逃げてきた彼らを撃退する
そのため、今の私はルナではなく、ペルールだ
『では行くよお前たち。このギランを元の街に戻すために』
「「おぉっ!」」
夜目が効かずとも、何度も訪れたこの街で迷う事などない
耳と鼻を最大限に使って持ち場へ向かう。途中まではギーヴ、ジャスワントと方向は同じだ
「同一人物のようには思えませんね」
『うん?あぁ、私のことかい?当然だろう。アレでは兵の士気が締まらん』
ナルサスに男として振る舞えと言われた時、彼に振る舞いの練習を付き合わせたのだし、ヴァフリーズ老にも指示をしてもらった
私のペルールがそう簡単に崩れることはない
『上に立つ者は、従ってくれる者達の前で臆病でいては示しがつかんのだ。亡きガーデーヴィのようにな』
「……えぇ。そうですね」
「ペルール卿!無駄話をしてる時間はないんじゃないのか?」
ギーヴが口を挟む。そろそろ分岐点らしい
『無駄話をしているつもりはないのだがなぁ楽士殿!…一同散開!兵は私に続け!』
遠くで戦いの音がする。ナルサスはもう作戦を実行した
「無理はするなよ。我が女神」
『!』
別れる際にギーヴが囁く。その労いの言葉だけで、私の気合は高まるのだ
(分かってるわよ。愛しき人)
ーー
「っくそ!こっちだ!」
逃げ惑う賊の声が聞こえる
首尾よくやってくれているらしい。まあ、しくじる様な人達でもないのだが
「前方に賊の姿を捉えました!」
『言われんでも、分かっているよ…!』
特攻してきた一人を斬りふせる
残りの賊が足を止め、私に剣を向ける
『万騎長総都督ペルール!この街で好き勝手暴れようというのなら、容赦なく屠らせてもらう!命惜しくば、降伏するのが身の為だ!』
「ヒィッ、ペルール…!?」
「なに怯えてやがる!やっちまえ!」
私の名を聞いて戦意を喪失する者もいたが、それでも向かってくる。全く、とても賢明な判断とはいえまい
『ははっ、実に滑稽』
ならば遠慮なく、その命を頂こう
ーー
「ペルール!後の始末は任せたぞ!」
『っ!?ナルサス!』
屋根の上を駆けるナルサスが私の横を通り過ぎていく。きっとシャガードを追いかけているのだろう
『…任せたまえ!』
頼んだよ。ナルサス
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奈那 - 完結おめでとうございます!最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております! (2023年2月8日 16時) (レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした!ありがとうございます!Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2017年9月27日 10時