再開は音楽で ページ6
(何だったんだ…?さっきの)
カウンターの女の子の話に相槌をしながら、奥に引っ込んだ愁の先ほどの言葉を思い浮かべる
面白くなりそう。というのは果たしてどういうことなのだろうか
(なーんか引っかかるんだよなぁ)
この前もバイト帰りの愁と出くわして
"お前もかわいそうだな"
と言われた
何がかわいそうなんだか
「足元、気を付けて」
奥から愁が戻ってくる。女をエスコートしている
彼女かと思ったけど、ミュージカル一筋の愁が彼女を作るわけがねえ。あ、いや、あいつ最近気になる女がいるとか言ってたっけ
女の顔を見ようにも愁が邪魔で確認が出来ない。二人はピアノの前まで行き、女はピアノの椅子に腰かける。愁はその隣で調律の手伝いをする
「なんかやるのか?」
「さぁ…?」
北原と南條も不思議に思ったらしい
店員の女の子に聞けば、財閥の令嬢がピアノを披露してくれるとのことだ
金持ちってのは案外暇なのだろうか
『じゃあ、いきます。大丈夫ですか?愁さん』
「あぁ、問題ねえ」
調律が終わったらしく、そんな言葉を交わしていた。そこで漸く視界に女の顔が映る
「…!!?」
なんで
『では一曲目"Shall we dance?"』
なんで
「……哀葉…?」
彼女がここにいる?
軽快なピアノの音で始まる曲。その音にのせて愁が歌いだす
完璧な伴奏と魅力的な歌声。それはこの場にいた全員を魅了していた
本当はすぐにでも駆け寄って抱きしめたいのに
体は言うことを聞かずに、その場にとどまったまま
夢じゃないのかと
幻惑じゃないのかと
何度問いかけても現実で
その事実に自然と視界が歪んで
(あぁ、夢じゃない)
触れようと思えば触れられる距離に君がいる
(あ、和泉泣いちゃってる…)
哀葉がふと目線を上げた先の虎石はうつむいて震えている
その様子に泣いていることが分かった彼女は胸が痛くなる
そんなになるまで待たせてしまったことが後ろめたく感じてしまう
(今、私が伝えられることは…?)
この状況において彼女が出来ることは一つだ
歌を届けること
空閑との楽曲が終わり、彼女は予定していた曲を変えた
今度はゆったりとした物悲しいバラード曲
『レンガ色の街 涙の向こう側に あなたがいたから
雨上がりの虹 消えてしまうとしても その手に触れてたいよ
探してた光は 今ふたり 照らしている』
『どこにいても想うよ 私らしい笑顔で あなたに会いたい 時を超えて』
どうか私の想いよ。彼に伝わって
そう思いながら彼女は歌った
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
