付き合い長いので ページ44
咄嗟に繕う言葉が出てこなかった哀葉にやっぱりな。という顔をした
いつもは嘘を平気でつける彼女がここまで動揺するのだから、原因は自分にあるのだろうかと虎石は踏んでいた
(自分の演技が出来ない。っつー事で思い詰めてる訳でも無さそうだし)
『……そんな顔に出てる?』
意外にも彼女は自分の様子がおかしい事を認め、少し恥ずかしそうに虎石に尋ねた
これも、彼に絆された証拠だろう
「さっき、俺に声かけようとしてUターンしただろ」
さっき、とは水飲み場での事だ
見られていたのかと哀葉は苦笑し、白状することにした
『んー…まあ、和泉に声かけようと思ったのは思ったけど、さ。声掛けづらくて』
「んな深刻な話してた訳じゃねえけど」
『揚羽にさ、模倣が完璧で羨ましいって言われて、ついカッとなって怒鳴っちゃって。で、部屋出た先に和泉が居たから、つい……』
と、そこまで言って口を噤む
要は甘えたかった。の一言で済む話なのだが、生憎と彼女は天邪鬼な面もある。その上、平気で自分を偽る
素直に口には出来なかった
「つい、甘えたくなった?」
そんな彼女の心を読み取ってしまうのがこの男である
『ぅ、ぐぅ…』
「……」
ぐうの音が出なくなった哀葉を見て、虎石は少し驚いた
今の彼の発言は読み取ったというより、カマをかけた。が正しいからだ
だから、黙って頬を染めてそっぽを向く彼女の姿が信じられなかった
「…お前はどこまで可愛いんだか」
『かわっ、いくはないだろ…!!』
彼の言う可愛いは、容姿や反応というよりは甘えたくとも甘え方を知らずにウダウダしている所のことを言う
「で?来ねえの?」
虎石は両手を広げて哀葉を待つ
甘えていい合図。それをされては腕の中に入ること以外の道はなかった
哀葉はそろりと虎石に近づいて行くが、遠慮するなと虎石は彼女を引っ張り、閉じ込めた
『!!』
「捕まえた」
『……俺は動物かなんかかよ』
悪態はつくものの、その顔は嬉しさが滲み出ていた
これを見てしまっては下心がないわけではなかった虎石としては色々と辛い
「天邪鬼」
『うるせぇ』
とはいうが一向に離れようとしない辺りが、彼の庇護欲と加虐欲を掻き立てるのだろうが哀葉がそれに気づく事はまず無い
「俺に遠慮とかすんなよって言っても、改善される気がしねえけど、もっと我儘言えよ」
『…なるべく気をつける…』
「まあ、及第点の回答か」
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
