腹黒双葉さん ページ42
「ダメだよりっちゃん。独り占めしないで公平に指導に付かせないと」
「僕は今、他の指導が終わったところなんだよ。独り占めも何もない気がするけど」
『えっと…?』
目の前で繰り広げられる口論に困惑していると、双葉が哀葉の顔を覗き込む
「ごめんねー。りっちゃん、遥斗が大好きでさぁ。完璧に演じてた君を気に入っちゃったと思うんだよネ」
『はぁ…』
何を言っているのか分からないがともかく嫌われてはいないという事だけは分かった哀葉は頷くしかなかった
そんな彼女を見てにこりと笑う双葉は、彼女にしか聞こえないほどの声で
「それに、君を独り占めしたいって子、もう一人いるもんネ」
『っ!?』
流石にこれには彼女は驚く
分かりやすく動揺した哀葉に双葉は笑みを深めた
(この人、どこまで気づいてんだ)
「哀葉?どうかしたか?」
『な、んでもない。うん。何でもない』
若干の不安を覚えながらも、哀葉は自分に言い聞かせる様に呟いた
「そーそー何でもないヨ!というわけで、哀葉君はアレクシスの影組の部屋へゴー!」
『っえ!?ちょ、押さないでっ』
双葉に背を押されて、そそくさと部屋を退場
早乙女はため息をつき、オーランド組は唖然とするだけとなった
「はいっとーちゃくっ」
半ば強引に連れてこられた哀葉に一斉に視線が集まる
「あれ、黒崎。オーランド組の方はもういいのかい?」
最初に声をかけるのは辰己だった
『強制連行された。ルイちゃんタスケテ』
「うーん。それは無理かな」
『さらりと拒否られた…!!』
「やれやれ…」
辰己のペースに月皇は呆れ気味だ
「……黒崎、哀葉」
ぽそりと名を呟いたのは、楪組の揚羽だった
彼は哀葉をジッと見つめている。瞳に移す感情は読み取ることが出来ないほど平坦だった
『……?』
その視線に気づいたものの、すぐに練習が再開し、それを問うことは出来なかった
アレクシスの影の見せ所はランバートの苦悩を支える場面。沈黙のディアローグだ
勿論練習も歌唱練習となる。だが
『ーー…』
聞いているだけだった哀葉は音のズレを感じ取る。原因は月皇だ
(……いつものうみうみだったら高音出るはずなのに)
彼女が小声で真似して歌っても十分出る音域
それなのにキツそうに見えるのはきっと
(兄の呪縛、か。こればっかはどうしようもないな)
結局彼女は何も言わずに見守るのみとなった
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
