未来がある者ない者 ページ35
初日公演無事終了
何事もなく、結果は上々で幕を閉じた
「凄かった…」
ロビーに戻るなり、星谷はそう呟く。その言葉には色んな意味が込められていることだろう
『いやぁ〜来た甲斐があった!本当、天花寺様々だな!』
対して哀葉はルンルンである。鼻歌を歌うぐらいには
「お前、ほんと好きな」
『映画と違って、舞台は生ものだからな!本当は毎日見に行きたい所だけどな。その日その日で演技は違うから』
「ふーん」
天花寺が褒め倒しなのが気に食わないのか、虎石はつい生返事をしてしまう
けれど、哀葉は気づいていない様子だった
『あ、そうだ。お前ら帰りの交通手段は?』
「えっと、僕と星谷君、卯川君は電車で、空閑君はバイクだよ」
『俺らもバイクだから、三人とはここで一旦お別れって感じだな』
「確かに、帰る場所一緒なのに変な感じ!」
クスクスと星谷につられて他の面子も可笑しそうに笑う
ともかく、三人と別れて哀葉達は駐車場へと向かう
その間にも虎石は今日の感想を述べていた
「天花寺もマジ凄かったし、流石梨園の貴公子っつーか?住んでる世界がちげえっつーか……ん?愁?哀葉?」
饒舌な虎石に対して、一言も喋らない空閑と哀葉を不思議に思ったのか、虎石は名前を呼ぶ
「俺も、本腰入れないとな」
『俺もだな。面白かったってのは事実だけど、ああやって見せつけられると燃えてくる』
「本腰…?」
言っていることがあまり理解出来ていない虎石は聞き返す
空閑は尋ねた。俺たちだっていつかはプロになるんだろ、と
その問いに虎石は声を詰まらせた
(和泉は、愁がレッスン通っていると知って興味本位で同じものを受け、学校も同じように選んで受けた。そこに、和泉の意思はない)
同業者の作るものを見た時、こうやって顕著に差が出てしまうのは仕方がないことだ
なりたいと思って入った者と、面白そうだからと思って入った者では感じ方や見方が変わるのは当たり前なのだ
(けれど和泉に、明確な夢が出来た時は)
きっとそれは、素敵なことになる事、間違いないのだ
『はーい。帰るよー。弁当食べたけど、腹減ってるか?』
哀葉は場を変えるようにメットを被りながら、明るい声を出す
話す内容が変わり、虎石は小さく息を吐き出した
「あんま減ってねえかも。ただ、何も食べないのはちょっとな」
『ん、じゃあ寮帰ったら腹の足しになるもん作るか』
エンジンをかけ、三人は帰路についた
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
