歌舞伎界 ページ32
程なくして幕の内弁当を買いに行っていた那雪が戻って来る
休憩の時間、つまりは幕間の時に飲食が許されている
「お待たせ」
「ありがとう。これが幕の内弁当かぁ」
「マジで客席で食うのかよ」
星谷と虎石は弁当を受け取る
自分の分と空閑、卯川、哀葉の分も含めて
「幕間にね。歌舞伎に公演をやってる時限定らしいよ」
「へぇ〜。でもさ、これ本当に歌舞伎なの?俺が予習したのと全然違うんだけど…」
星谷は貼り出されたポスターを見ながらそう呟くと、他の面々は苦笑した
確かに、今回行われる舞台は普段の物とは違うゴシック歌舞伎。古き良き型と新しき型その両方が備わっているもので、それを始めたのは他でもない天花寺の父親なのだ
卯川と那雪は星谷にそう伝える
「あ!なんか見たかもそれ!」
それでも尚あっけらかんとしている彼に一同は話題を変えた。ここにいない一部のメンバーの話である
「申渡来たがってたのについてねえよなぁ」
「風邪引いちゃったんだっけ?」
「"あっち"がな」
なんでも、辰己が突然熱を出したらしく、申渡はその看病に当たったとのことだ
辰己の世話役のような彼は、放ってはおけないらしく結局歌舞伎を観に行くのを断念していた
『帰りにお見舞いに何か買っていこうか』
「そうだね」
また、戌峰が話が右から左へ流れていっていて聞いてもくれなかったらしい。卯川がもう少し根気よく話しかければ別だったかもしれないが
月皇も同様にこの場にはいない。普段の彼ならばなんだかんだ見に来ていたかもしれないが
『稽古に専念…ね』
いいことなのだろうが、最近の月皇を見て、そうは思わない哀葉は表情に影が曇る
「へっ、流石だねぇ」
『身体と心、共にぶっ壊れなきゃいいけどな』
「根詰め過ぎもよくないしねぇ」
卯川も哀葉と同感のようだった
「あっ、やばい!天花寺、楽屋で待ってる!」
『おや、それはマズイな。さっさと行こうか』
一同は役者達の楽屋口へと向かう
天花寺の計らいなのか、案内のスタッフが快く迎えた
楽屋の廊下は本番前の緊張感がピリリと少し肌を撫でる
「すごい…」
「別世界って感じ」
関心し、物珍しそうに辺りを見渡す
すると前方から小さな男の子が走って来た
彼も本日の役者の一人だろう
「あんな小さいうちから…」
「天花寺が大舞台を怖がらないのも納得だな」
『子役か…今回の役からして天花寺と心中する役の子かな』
「黒崎君、縁起でもないこと言わないでよ」
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
