まっすぐな ページ29
そこからはもう、みんなが思う通りのシナリオだ
哀葉とバンド仲間の赤塚達の生演奏は、音源を用意していただけの彼らでは太刀打ちが出来ない
ジャックをさせる隙も与えない熱量で、押しのけた
ライブは…ステージ上のものは全て生もの。一つ一つ全力で臨まなければいけないもの
気の緩みなどあってはならないのだ
『てめぇら!声出せ!出来んだろ!』
「煽るね〜まあ、嫌いじゃねえけど!」
哀葉と赤塚は背を合わせて、ギターをかき鳴らす
ビリビリと歌劇場が震える
歌劇場というこの場所に、騒音に近い音は相応しくないのだろう
だけど、そんなことは気にするべきことじゃない
(俺らが楽しまないで、客が楽しめるかよ!)
ー・ー・ー
「さて…どうするか。こいつ」
勝負が終わり、控え室にて
虎石始め、柊勢が桐生を囲んでいた
バキボキと指を鳴らす虎石に彼はヒッと情けない声をあげた
「普通に考えて家に報告だよね。躾のなってないお坊ちゃんがこんなことしでかしたんだから」
辰己は笑っているが、実際のところ笑っていない。そう見えるだけだ
「というかさ、判定基準はどちらがプロとして相応しいか。とか言ってたくせに自分が一番プロとしてしちゃいけない事してるよね」
「そうですね。矛盾すぎて笑えてきます」
『お前らまだやってんの?』
ガチャリと不在にしていた哀葉が戻ってくる
先ほどまで、室山の作っていた曲を聞きに行っていたのだ
「お、おかえり。どうだった?」
『いやぁ楽しかったわ。あいつな、得意分野がテクノ系らしくてさ。俺はそっち系苦手だからすげぇ参考になったわ』
嬉々として話す彼女の顔は本心からそう言っているとすぐにわかる程の笑顔だ
『他の奴らとも話したんだけどさ、いろんな知識持ってるから話してて飽きないんだ。同じクラスになれて良かった』
「それは何よりですね。虎石、哀葉と先に戻って構いませんよ。こちらは私達でなんとかします」
「お、おぉ…悪いな」
『え、けど』
「今日は疲れたでしょう。ゆっくり休んでください」
申渡は笑顔で送り出す
そう言われては戻るしかないので、二人は荷物を持って部屋を出た
「あ!!」
「え、なに戌峰君。急に大声出さないでよ」
「哀葉に言いたい事あったんだ!」
戌峰は哀葉に近づき、ぎゅむっと抱きしめる
『おわ…!』
「哀葉サイコーだったよ!!僕、哀葉の歌聞くのすっごい好き!!」
伝えられたのは純粋な感想
その言葉に彼女は不覚にも涙ぐんでしまった
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
