盗まれた恋歌 ページ24
第二回戦 アカペラ
伴奏なし、マイクなしで行われるそれは申し分ない声量が必要なのだが、哀葉は心配されるほど声が小さいわけではない
それは三回戦のオペラでもそうだ
ここまで圧勝と言って良いほどの実力を見せつけた彼女は、彼らにとっては予想外だったのだろう
いや、もしかしたらここまで想定内だったのかもしれない
本当は、彼女の、橘の名前に傷をつけることが目的だったのかもしれない
事件は、第四回戦で起こった
四回戦のお題はJPOP。条件は自身が作詞作曲を手がけていること
哀葉は勿論、虎石にあげた曲を歌うことを決めていて、虎石もそれを了承していた
一人のための歌のようで二人のための歌。他人が歌えば、その歌詞の意味は大幅に違って来る
『……』
舞台袖で、出番を待つためにスタンバイしている間哀葉は考える
先ほどから対戦相手の様子がおかしいということに
これだけ実力を示しても、悔しがるといった表情を見せずにただニヤニヤと笑っているだけ
(……この回で違和感がなんなのか、分かりそうだな)
例によって、先行は向こうだ
準備が整い、カウントが始まり、そしてーー…
『なっ…!?』
曲が始まった
「おい、なんでだよ…!」
客席にいた虎石も思わず立ち上がる
そして他の柊のメンバーも目を見開いていた
だって彼らはこの曲を知っているから
「なんで、なんで哀葉の曲をっ…俺らの曲をあいつが歌ってんだよ…!?」
ギターの音から始まるアップテンポの曲
歌詞は勿論
「ひとりひとつのLOVEじゃ足りないんじゃない? 恋に恋して焦がれるほどに 自分演じてキレイになれ」
『な、なん、で』
流石の哀葉も動揺を隠しきれず、へたり込む
(いつだ…いつ盗られた…!?そんな隙なんてっ……いや、隙なんて幾らでもある。俺が舞台にいる間、あいつらはどうとだって出来る…!!)
「驚いて声も出ないか」
桐生が笑いながら彼女に近づく
成功だ。という顔で
「あいつの特技は瞬間記憶だ。1時間もあれば曲一曲なんて造作もない」
『っ、テメェッ…自分が何やってんのか分かってんのか!?犯罪どうこうよりも、プロとして有るまじき行為だぞ!!?』
「俺の目的はただ一つだ。お前を潰すこと。それだけだ」
彼の歪んだ笑顔が嫌に焼きつく
哀葉は泣きそうになる感情をグッと抑えて、ただ拳を握った
「次、同じ曲を歌えば、どうなるかなんてお前も分かっているだろう?」
『くそっ…!!』
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
