いたい場所 ページ15
哀葉がいるという事実に対する驚愕が少しずつ収まり始めた頃合いを見計らって、彼女は自身が綾薙を出て行った経緯と戻ってきた理由を、食事を取りながら話し始めた
実家は実は橘という財閥であるということ。東京進出という家にとって大事な時期には戻って手伝いをするという約束をしていたこと。けれど両親が、彼女の綾薙を抜け出した未練を汲み取って、きっちり三年間通わせてくれるようにしてくれたこと
哀葉が女であるという事を隠したまま、ある程度の事実を述べた
「まさか、黒崎君も御曹司だとは夢にも思わないよねぇ」
話を聞き終え、一番最初に言葉を発したのは卯川だった
それには皆、同意見なのか頷いている
「俺はクリスマスに哀葉の妹と話をしているから知っていたが…辰巳や申渡は?」
「私は、橘製の楽器に興味がありまして、割と早く知っていましたね」
「俺は今日初めて知ったよ。驚いたなあ」
『全然驚いてるようには見えねえけどな…』
ともあれ、誰も非難の声はあげなかった事に、哀葉は安堵する
『ま、何にせよここにいる限りは俺もただの学生だし、今まで通り……って言わなくても接してくれるか』
「当たり前じゃん!俺らにとって、哀葉は哀葉なんだし」
『嬉しいこと言うねぇ』
彼女は少し照れ臭そうに笑った。それでも、嬉しいと言う感情が滲み出ているのは明白だった
「そういや、お前学科はどうすんだ?」
空閑が問う
ミュージカルが好きだと言っていた哀葉は、スター枠でも一般枠でもない、普通の生徒として過ごしていた
この事に関しては誰もが思う事だろう
『あぁそれなら問題ないぜ。声楽科に無事入れるから』
「えぇっ!?す、すごいね!?」
「柊のポンコツ番犬もそうだが、お前も大概、天才の部類だな」
『何言ってんのしょーちゃん。努力してこそ勝ち取ったもんだぜ?俺は天才でも何でもないって』
彼女はクスクスと笑って、食べ終わった食器を戻す
実際、何度も学校におもむいて、頭を下げたり実力テストを受けたりと戻るのに色々していたわけで
それなりに苦労はするのだ
『今年からはクラスも学科も完全に違うけど、手伝える事は最大限するつもりだからな』
哀葉はあっけらかんと笑う
「え、でもそれじゃあ哀葉くんが…」
『単位落とすって?へーきへーき。テスト学年5位以内取って実技そこそこ良ければヨユーだから』
「さらっと凄いこと言ったな、お前」
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
