仲良くなるのは ページ11
「お、北原おかえり」
「なんだ。お前寮に戻ってたのか」
そこで北原は虎石の隣にいる哀葉に気づいた
一応一年間同じ寮で暮らしていたのだ。顔ぐらいは覚えているだろうと思っていたのだが
「お前誰だ?」
『……覚えられてないんかーい』
思わず彼女はつっこんだ
いくらクラスが違い、普段から会わないといって、お披露目公演や綾薙祭で目立つことをしていた彼女の事を覚えていないとは
「お前なぁ…綾薙祭のオープニングライブで歌ってたろ」
「……あぁ。あいつか」
説明されても反応が薄い北原に二人は苦笑せざるを得ない
『えーっと……一応自己紹介しとくか。2年声楽科、黒崎哀葉だ。仲良くしてくれると助かる』
哀葉は手を出し、握手を求める
「北原廉。ま、程々に仲良くしてやる」
北原はそれに応える
それがすごく嬉しかったらしい哀葉は輝く笑顔を見せた
『おう。よろしくな!れんれん』
「!!?」
『あ、悪い。流石にあだ名はマズイか』
驚いた北原の反応を、あだ名で呼んだことが気に食わなかったと思った彼女は謝る
だが、そうではなく
(こいつの笑顔見て、ドキッとした…?は?俺が?)
こっちに動揺していた訳である
そんな北原の心情をなんとなく察知した虎石は、慌ただしく二人を引き剥がす
「あ、あぁそうだ!哀葉!材料買いに行くんだろ!早く行くぞ!」
『へっ、あぁ、うん』
虎石は彼女の手を掴んで歩き出す
残された北原はぽかん…とするしかなかった
「なんだ、あれ」
ちなみにこのやり取り、二回目であるが鈍い北原はそれを思い出しはしなかった
『ちょ、和泉!?いきなりなんだよ!?』
虎石に引きずられながら、哀葉は疑問を述べる
けれど彼は一言も喋らない。ただひたすらまっすぐ歩いていくだけ
自分が何か怒らせてしまったのか。けれどその理由が分からない
(折角、やっと会えたのに喧嘩とかしたくないんだけどな)
虎石と離れてから随分と思考回路が乙女に戻ったものだ。と哀葉は思う
これは案外、この先の男装生活は厳しくなるかもしれない
それもこれも
『和泉が女に戻すのがいけないんだよなぁ』
なんて呟きが虎石の耳に入って、ピタリとその歩みが止まった
『やっと止まった…お前な。いきなり手ぇ掴んで進むな。転ぶだろ』
「今、なんて」
『ん?いきなり手ぇ掴んで「そっちじゃなくてもっと前」……和泉が女に戻すのがいけないって方か?』
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すず(プロフ) - 最高です……！！更新待ってます！ (2017年10月7日 10時) (
レス) id: 03b18b1ae8 (このIDを非表示/違反報告)
runa(プロフ) - 選曲が神すぎます！めっちゃ嬉しかったです♪これからも頑張ってください(*^^*) (2017年6月20日 0時) (レス) id: 00ce596435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年6月18日 9時
