とある地方で ページ2
パルス王太子アルスラーン
彼の為に、必要となる宝剣ルクナバードの在り処を探しに行った楽士ギーヴと万騎長総都督ペルール
けれど二人は現在、ルクナバードが眠る場所ではなく、ファランギースとペルールの故郷であるフゼスターン地方に身を寄せていた
本来ならばすぐにでも目的地へ向かうはずの二人だったが、情報を提供してくれるはずのペルールの師 クレシアがはぐらかして中々口を開かないのだ
「まさかここで足止めをくらうとは…ま、俺としては麗しい恋人と昼夜問わず共に居られるのだから良いがな」
ギーヴはそう笑って、ペルール…ルナの髪をくるくると弄ぶ
初めて会った時より格段に短くなってしまったそれは、ギーヴの指からするりと逃げて行ってしまう
『…良くないでしょ。アルスラーンの王都奪還までに間に合わせなきゃならないんだから』
対するルナは渋い顔をしてギーヴを見る
『まあ、ルクナバードの大体の見当はついてるんだけど…』
「ほぉ?流石、総都督殿。その才知はナルサス卿をも上回るのでは?」
『茶化さない。…けど、師匠があそこまで口を割らないのは苛立ちを覚えるからそろそろ割らせないと』
「師匠に対して恩義がないのか、お前は」
『あの人、楽しんでるだけだからこれぐらいが丁度………?』
ふとルナが何かを察知する
扉の先のその向こうを見通すように鋭くなった瞳に、ギーヴも空気を変える
「どうした?」
『………』
ギーヴの問いには答えず、ルナは自身の胸元にあるファランギースから貰った翡翠晶の笛を咥える
それは、精霊(ジン)と会話をする為の手段である
暫く静かに音の響かない笛を吹いていると、ルナは唐突に立ち上がった
「おいルナ?」
『…来る』
そう呟いて、彼女は傍らにあった剣を取る
その空気にギーヴも剣の柄に手を掛ける
現在、この家の主人であるクレシアは不在。二人が彼の嫁と子供を守らなければいけないのだ
『サラ、奥の部屋まで皆を避難させて』
「えぇ、分かってるわ」
『ルークは小さい子供達を頼むよ』
「任せとけって姉貴」
前を見据えながら、ルナは指示を送る
サラはクレシアの一番目の嫁で、彼と家をよく知る女性
ルークはそのサラの息子で、現在はクレシアの二番弟子でもある
『さて、いらないお客様がくるみたいですよ、ギーヴ様』
「あぁ、すぐに片付けて、愛を語らおうではないかルナ殿」
そして二人は扉を開けて外に出る
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夜兎 蓮(プロフ) - 更新されるのを待ってました!!!!ぺルールかっこかわいいです!!!!!! (2017年5月5日 13時) (レス) id: 594b9a598c (このIDを非表示/違反報告)
紫蝶桜 - 春月さん» 更新待ってました! (2017年3月18日 16時) (レス) id: 43ee0b77f2 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またまたお邪魔します!更新されたのがわかったので飛んできました!やっぱりギーヴファンにはたまらないです(笑)更新頑張ってください! (2016年12月12日 18時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 一番最初から読ませていただいてます!この作品大好きです!更新を待ってます! (2016年12月6日 15時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 - 最初から読んでますがやっぱり最高です!これからも頑張ってください!更新されたらすぐ読みます!! (2016年11月15日 20時) (携帯から) (レス) id: 23a2bb1a46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2016年7月5日 12時