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彼ラノ優シサ ページ13

この声は……

「谷崎か。今手が空いていない。鍵は開いているから入れ」

声をかければおずおずと開くドア
顔を出したのはやはり、武装探偵社の社員 谷崎潤一郎だった

「何の用だ?」

「あ、はい。社長からの伝言を預かったので……って、え"っ」

谷崎がある一点を見て固まった
その一点は、俺が抱えている森だ

「く、国木田さん…その、女の人は…」

「あぁ、我が社に入社予定の女だ。名は森朱音。年齢は俺と同じだ」

俺の言葉で谷崎の顔つきが変わった

「えっ、じゃあその人も…?」

「異能力者、だな。それも、先日から騒ぎになっていた烏のな」

「その人が…噂の八咫烏…」

信じられないと言いたげな顔をしている
というかそろそろちゃんと寝かせてやらないとまずいか

「谷崎、伝言は後でで、布団を敷くのを手伝ってくれ。俺一人ではどうも器用に出来ん」

「あ、はい。わかりました」

谷崎の手を借りて、森を布団の上に寝かせる
いいタイミングで来てくれて助かったな
谷崎は興味があるのかなんなのか、森へ視線を何度も向けていた

「どうした?」

「あ、いや、その…国木田さんが部屋に女性を入れるなんてないから、びっくりしちゃいまして」

「…そういえばそうだな。現場にいた人間が人間だったから、消去法で俺になったわけだが…」

あの場にいた、人間の中で一番害がなさそうなのが俺だと太宰は判断したのだろう
普通は与謝野先生が妥当だろうが、あの人は性格がアレだ。餓死寸前の森を送り込むには少し危険だ

「谷崎、今日か明日にでも森ともう一人の小僧のデータが送られてくるだろう。目を通しておけ」

「はい。わかりました」

「それから、だな。面倒でなければ胃に優しい物を数品願えるか。あいつが起きた時に食わせてやりたい」

頼むと、谷崎は快く頷いてくれた
明日はきっと、小僧と森の入社試験になるだろう。今頃太宰が進言しているはずだ
そのためには、体力を少しでも戻してもらわねば

「…国木田さん、ちょっとお父さんみたいですね」

「あ"ぁ!?」

「ひっ、あ、いや…悪気があったわけじゃなくてっ…!その、随分と心配してるので、何かあるのかなって」

何か…か
別にこれと言ったものはない。ただ、目の前で死なれるのは後味が悪い
それを俺はよく分かっている。出来るだけ、目の前の命は救いたい、と
望んでしまう

「単なる気まぐれだ」

そう呟くと、谷崎は少し笑って調理を再開した

ソノ後ノ青年ハ→←オ世話ニナリマス



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎   
作品ジャンル:アニメ
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ユリ(プロフ) - 谷崎さんオチが読みたかったので嬉しいです。それに夢主の設定も好みで、アニメ沿いのストーリーも面白いです!更新されるの待ってます。頑張って下さい。 (2018年2月7日 13時) (レス) id: 4a3ece2123 (このIDを非表示/違反報告)
ファーストMe - めちゃくちゃ面白いです(о´∀`о)更新頑張ってください! (2016年10月26日 16時) (レス) id: 4d48430878 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月 | 作成日時:2016年5月27日 15時

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