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✳ひとらんらん視点
祭りに相応しい喧騒が、遠巻きに聞こえる。
ああ、こーいう雰囲気の場に来るのは久しぶりだな。と俺は目を細めた。隣にいるのが女の子だったらもっと良かったんだけどな、と思わないではないけど。
隣にゆっくりと目をやると、そこにいるのは可愛さとは無縁の男、グルッぺンであった。
彼から｢おい、祭りに行くぞ｣と突然連れ出され(つまり俺の依代の刀を彼が持ち出した、という意味だ)、今ここで二人、和やかに往来を眺めている訳だが。
｢…ねえ、携帯光ってるよ｣
｢そうだな｣
ベンチに無造作に置かれた彼の携帯の隅が点滅している。メールか着信かよく知らないけど、光っているってことは誰かから連絡があったってことだよね？と視線を送る。それでも彼は携帯を触ろうとしなかった。
視線を携帯に一切向けることなく、彼が遠くを見ながら話す。
｢ときにひとらん、もしAが妖怪になったらどうする？｣
｢いきなり何？別にどうもしないよ｣
特に深く考えずに返事をした。
｢では、俺と同じ存在になったら？｣
｢それも、別にどうでもいい｣
再び即決。何故、彼はこんなことを聞いてくるのだろうか。少しだけ眉を寄せて訝しむ。
｢それなら、死んでしまったら？｣
｢………｣
少しだけ考え、返事をした。
｢それは嫌、かな｣
そう答えたとき、グルッぺンは僅かに寂しそうに笑った。が、それは一瞬だった、もしかしたら見間違いだったかもしれない。
｢ねぇ、なんでそんなこと聞く訳？｣
｢いや、他愛もない雑談だ。気にするな｣
｢不穏すぎんだよ｣
それは悪かったな、と悪びれずに笑うグルッぺンに溜息を吐きつつ、俺はまた遠くを眺めたのだった。
→第十章につづく
閑話休題『一蓮托生って言えば良いとか思ってません？』→←17
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にゃーちゃん - 初コメ失礼します！めちゃくちゃ面白いですッ…!!!もう…好き(語彙力皆無)htrnのモンペ具合が好き過ぎるんだよなぁ…(( 更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (2023年2月28日 0時) (
レス) @page45 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 私にどストライクの作品です！！更新頑張ってください！！ (2021年11月1日 0時) (レス) id: 23a9beafd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶏太郎(プロフ) - ソウさん» ソウさん、コメントありがとうございます！ゆっくりとですがじわじわ更新しております！今後ものんびり待っていただけると幸甚です！ (2021年3月24日 0時) (レス) id: 1d5de77dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ソウ - 初めまして！前からこの作品を読ませてもらっていたのですが、やっぱり面白いですね！今後の更新も楽しみにしています！ (2021年2月26日 7時) (レス) id: 41f6688bcf (このIDを非表示/違反報告)
鶏太郎(プロフ) - 田中さん» 田中さん、ご指摘ありがとうございます！会話文中にw等を使っていたのは、｢動画内の彼らのテロップに寄せた方が、脳内再生余裕かな？｣と判断していたためです。自身でも悩んでいた部分でしたので、大変参考になりました！次回からちょっと試してみますね！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 10d9e4ee33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶏太郎 | 作成日時：2020年8月28日 23時
