5 ページ5
✳シャオロン視点
エーミールの言葉をうけて、グルッペンが口角をあげた。ちなみに俺は再び耳を疑った。
｢…なるほど。君はシャオロン氏の言う通り、かなり諦めが悪いようだな笑｣
｢ふふ、自覚はしてます｣
｢出来ることなら力になってやりたいが。……シャオロンがこちらを睨んでいるのでな。心の中で応援するだけに留めておこう笑｣
俺の方を見ながらそう言って笑うグルッペン。そこにオスマンが近づいてきた。彼もまた、俺を見て笑いかけた。
｢ふふ、羨ましいなぁ。こんなに想ってもらえるなんてな？｣
｢きっしょ。男に想われても何も嬉しくないわ｣
｢えー？素直やないなぁ笑｣
そういいながら、オスマンが一段階低くした声でグルッペンに問うた。
｢グルッペン、…どーすんの？｣
｢そうだな。彼がこの世界に今後も興味を持ち続けるならば、再び相見えることもあるだろう。少々残念ではあるな。だが、互いのためだ。オスマン、頼む｣
｢ん、りょーかい｣
何をするつもりなのか。俺はエーミールに歩み寄ろうとしたオスマンを睨みながら、彼の前に出た。オスマンが落ち着きや、と言って微笑む。
｢別に危害を加える訳やない。ちょーっとグルッペンのこと忘れて貰うだけやからさぁ｣
｢なんでそんなことすんねん？｣
｢ん？…エーミール君の為、かなぁ？｣
オスマンが少しだけ目を開き、口元を歪めて微笑んだ。その瞬間、全身の毛が逆立つような心地がした。
(アカン…格が違う)
彼からとんでもない威圧感を感じた。否が応でも、太刀打ち出来ないと理解できてしまう。…思わずその場を後ずさった。俺の様子を見て、オスマンがニッコリと笑い、｢理解して貰えたみたいで嬉しいわ！｣と言った。こいつ、わざと威圧したくせに…！と内心吐き捨てる。
｢エミさん、堪忍な｣
そう呟きながら、エーミールの前でオスマンが手をかざすと、辺りがぼんやりと深緑色に光った。
｢…？｣
エーミールが目を擦りながら疑問符を口にしている所に、グルッペンが声をかけた。
｢さらばだ、エーミール少年、シャオロン。…またいずれ、どこかで会おう｣
そう言うと彼は不敵な笑みをたたえながら、靴を鳴らして踵を返し、その場を立ち去ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 545人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鶏太郎(プロフ) - おしずさん» おしずさん、再びのコメントありがとうございます！いつもより練りながら書いたので、そう言って貰えて助かります…！はい、ゆっくりのんびり続きも書きますね！ (2020年7月18日 21時) (
レス) id: 10d9e4ee33 (このIDを非表示/違反報告)
鶏太郎(プロフ) - らりるれろんさん» らりるれろんさん、再度のコメントありがとうございます！今回時間軸がとびまくったので分かりにくいかな…と心配していたので、そう言って貰えて嬉しいです！更新頑張ります^^* (2020年7月18日 21時) (レス) id: 10d9e4ee33 (このIDを非表示/違反報告)
おしず(プロフ) - 続編及び、第6章お疲れ様です！今回もものすごく面白いです！！第7章も、鶏太郎さんのペースで更新頑張って下さい……！！！ (2020年7月18日 14時) (レス) id: f2c187ecfd (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろん(プロフ) - ひゃー！第6章も面白かったです！本当にこのお話面白い…！更新頑張って下さい！ (2020年7月18日 10時) (レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶏太郎 | 作成日時：2020年7月17日 20時
