彼岸の昇華 (ページ15)

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また十五つページ15

パラパラと鬼の肉片が消えていく。
何体目かもわからないそれを見届けて、少し白み始めた空を見上げた。
それに安堵の息を吐いた途端、安心感に包まれて倦怠感に襲われる。
震える手で刀を収めて、道を戻る。
遠くに見える白い校舎に向かって。
重い足を引きずって、校門が見えた頃には空が明るく綺麗なグラデーションを描いていた。
その門の前に見慣れた姿が見えてホッとした。

「有一郎ッ！！」

師範の声に足を踏み出した瞬間、ふらつく足元。
あぶね、と目を瞑ったが、いつまで経っても衝撃はやってこない。
それどころかあったかい。

「おかえり」

耳元で響いた震えた師範の声。
あ、抱きしめられているのだ、と気づいた頃には、師範の思ったよりも華奢な体が震えていた。

「師範…泣いてます？」

「えへへ…有一郎が、無傷で帰ってきたのが嬉しくて…」

ありがと、そう鼓膜が優しく揺れる。
師範を宥めるように背中に手を回す。
きゅっと抱きしめた体は柔らかく、鼻腔をくすぐったシャンプーの臭いはふんわり甘くかった。