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「........んせ、先生。」
『あっ、ごめん。えっと、なんだっけ?』
「だーかーらーーー、花火大会、行かない?って言ったの。」
『あ、あぁ、そうだったね。』
........ダメだ、昔のこと........瑞稀のこと、思い出しちゃってた。
ずっと記憶に蓋をしていたため、思い出す記憶は何だかまたあの夏を体験したかのように生々しくて、鮮明で、当時の匂いや感触、感情がみるみるうちに蘇ってきて危うくすべてがこぼれてしまう所だった。
「ぼーっとしちゃって、変なの。いつものしっかり者の先生らしくないじゃん。」
『ごめんごめん。ちょっと青春を思い出しちゃってたの。』
「........へえ、どんな青春だったんですか?」
どんな青春。
そう聞かれてみたら難しいし、なんとも形容しがたいくらいにあの青春は長くて短くて、濃いものだった。
それは本当に周りの高校生とは比べ物にならないほど、深く、緻密で、痛いほど。
『うまく言葉に出来ないけど、ただひたすらに眩しかった。』
「先生も青春してたんですね。」
『........まあ人並みに。』
そう答えてみせると複雑そうな顔をした高橋くんが「そう、あ、僕、塾あるんで。」と荷物を持って帰ってしまった。
私は知っている。
彼は動揺した時に自分のことを「僕」と言うこと、そして塾など行っていないこと。
何に動揺したかは分からないけれど27年も生きてきた私だもの、恋愛くらいしているわよ。
それくらいのことで動揺してるような子供に、私を落とすことなんてできっこない。
まぁ、落ちてあげられないんだけれど。
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雅(プロフ) - 完結お疲れさまでした。主人公さんが少しずつ前に進もうとしてくれて救われました。彼らも戻ってきてくれましたね。悠 稀。さんも新生活無理をなさらず楽しんでくださいね。新しいお話も楽しみにしています! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 842dc44a5f (このIDを非表示/違反報告)
悠 稀 。(プロフ) - ほのかさん» ありがとうございます!がんばります! (2019年7月18日 0時) (レス) id: 44e2d305a4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - お返事ありがとうございます♪ 更新 嬉しいです! ありがとうございます。応援してます。これからも頑張ってください!! (2019年7月17日 22時) (レス) id: 11804724af (このIDを非表示/違反報告)
ほのか - この作品好きです!これからも頑張ってください♪ (2019年7月17日 22時) (レス) id: 41b718b53e (このIDを非表示/違反報告)
悠 稀 。(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!頑張ります!!! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 44e2d305a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠 稀 。 | 作成日時:2019年7月15日 22時