79話 ページ29
晩御飯の前に蒼真の部屋を覗いた。
休むことなく、洗面器に嘔吐く声が聞こえる。
ベッドに横たわる強ばった背中を撫でながら
少し治まったタイミングを見計らって声をかける。
「晩御飯、いらない？」
こくり
小さく頷く。
だよなぁ。
「また、すぐ戻ってくるからな」
こくり
不安そうな蒼真の頭に手を置いて
ご飯を食べに一階へ階段を駆け下りた。
「蒼真は？」
いつの間にか帰ってきていた兄ちゃんに声をかけられる。
「つわりで食べられないみたい」
だよなぁ、可哀想、と兄弟みんな口を揃える。
雨生に関しては、代わってやりたいと半分泣いている。
「蒼真のこと心配だから早く食べよ、
後でみんなに話したいことあるから」
光貴がみんなの背中を押して促す。
「え、なになに？」
なんとかご飯を食べだした時に、
光貴は机の上に、だん、と
手紙を置いた。
「えっ…友矢から？なんで？」
兄ちゃんと雨生はその下の言葉を読んで
はっと息を飲んだ。
「これ、俺とハルくんは蒼真に渡そうと思う。
いい？」
光貴は二人を交互に見る。
「…わかった」
兄ちゃんはそう答えた、だけど
雨生は唇をずっと噛んでいる。
「雨生、いい？」
俺が顔を覗き込むと、ゆっくりと頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱々璃(プロフ) - こんぺいとうさん» 閲覧ありがとうございます！コメント頂けるとやる気起きます笑 少しずつですが頑張ります(^^) これから、兄弟一人一人の恋事情も挟みますのでお楽しみください！これからもよろしくお願いします (2017年11月13日 12時) (
レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2017年11月11日 23時) (レス) id: 44526260a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱々璃 | 作成日時：2017年11月2日 1時
