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46話 ページ46

だけど俺には、
友矢と蒼真の間にやって来てくれたこの子が
愛おしくてたまらなくなっていた。

選んで、きてくれた。
きっと、そう思う。

「蒼真なら大丈夫」
そうとしか言えないのだ。
兄として、助産師として。

「…ほんと?」
枕から頭を起こしてポツリと言った。
「ほんと。
あんなに優しい母さんに育てられた
蒼真が素敵なお母さんになれない訳ないだろ?」
また眉毛が下がる。
蒼真の泣き出す前兆。

「でもっ、でも、」

「はいはい、心配ばっかりしてたら
赤ちゃんに悪いから」
頭をぽんぽんすると、なんとか
裾を放してくれることに成功した。

「朝ごはん食べて、助産院行こうか」
カーテンをばっと開けると
眩しい光が飛び込んできた。


助産院に着くと蒼真はやたら眠かったらしく、
俺の控え室のベッドでぐっすり眠り出した。
勝手に寝るなよな〜。
可愛い弟だし、妊夫だから仕方ない。

「こんにちは、ハルさん」
振り向くと、まだ入院している尚くんが立っていた。

「こんにちは、順調?」
「はい。お陰様で!恵も元気に泣いてます」
嬉しそうに報告してくれる尚くん。
赤ちゃんが泣いてることはとってもいいこと。
もう母親らしくなっていた。

「弟さん来てるんですか?」
「そうそう、蒼真って言うの。
今、妊娠2ヶ月くらい」
「え!?おめでとうございます!
いいなぁ。兄弟」
「そうか?家帰ったら野郎5人だよ?」
談笑してると、後ろからてちてち誰かが来た。
蒼真だった。

「ハルちゃん、待合室で赤ちゃん泣いてる」
「あ、恵かも!行ってきます!」

尚くんは駆け足で待合室に行った。
ここの待合室は畳あるし、ソファーもあるし、
冬になればコタツも出てくる。
待合室と言うよりは、
リビング的な部屋。

「蒼ちゃんも赤ちゃん見ておいで」
背中を押すと不安そうな顔で
てちてち歩いて行った。

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朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます!体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします! (2017年10月30日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです!最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです!更新頑張ってください! (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます!勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします! (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あ゙あ゙ああぁ〜〜!!(´;ω;`) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳: 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!本当に嬉しいお言葉です!この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします!もしよければこれからも感想とかお願いします! (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2016年6月24日 18時

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