君の蒼い花。=オリジナル=

41話 ページ41

「もし雨生が今でもこのこと気にしてたらいけないから、言えてよかった。
雨生のお陰だって」

「ハル…ありがとう。
本当は後悔してた。
“俺が産めって言わなきゃよかったのに”って。
ずっと苦しんでんのは俺のせいだって。
そうやって言ってくれて嬉しい」

雨生は優しい。
優しい分、色んなことを背負う。
昔からお調子者なところもあるけど、
あの笑顔の裏には何かしらあるんだろうなと、
子ども心ながら感じていた。

雨生は胸に手を当て大きく深呼吸をする。
さっきまで涙目だった目をゆっくり閉じて
口角をあげた。

そして、蒼真と向かい合う形になった。

「蒼真、」

雨生は服の袖で蒼真の涙を拭う。

「友矢が死んじゃって辛いと思う。
自分のこともままならないのに赤ちゃんいるなんて
考えらんないと思う。
だけどね、この赤ちゃんは…

蒼真が一人ぼっちにならないように
友矢が残してくれたんじゃないかな？」

蒼真は勢いよく顔をあげた。
頬に一筋の涙が流れた。

蒼真の小さな手に手を重ねる。
死んだお母さんがよく蒼真をなだめる時に
していた仕草。
俺も雨生も知らない間に受け継いでいた。

「俺…俺、赤ちゃん好きだから
本当は産みたい…だけど、
1人で育てていく自信なんてないし、
陣痛怖いし、
やっと友達できたのに高校辞めなきゃだし
もうどうすればいいのか分かんない…」

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