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34話 ページ34

「ダメ、蒼真何言ってんの?」

ドアを開け、
つかつかと蒼真の部屋に入っていく
光貴の背中を
俺はただただ眺めることしかできなかった。

「や、やめっ!離しっ」

「やめないし離さないし」

物音が響く。
物が落ちる音、壊れる音。
その中で光貴は冷静だった。

俺は、その音で我に返った。
光貴は何やってんだ。

「ハルちゃん!助けて!みっちゃんが!」
蒼真からSOSを受け取った。

「光貴!何してんの!蒼真が何してたの!」

カシャーン

俺の足元に刃の出たカッターが滑ってきた。

「ハルくんそれ没収してて」

光貴は小さい蒼真を羽交い締めにしていた。
蒼真の左手首の袖と光貴の服に血が滲んでいた。

蒼真の左手首から
赤い血がたらたらと垂れている。

「蒼真!!!」

俺はポッケに入れてた
ハンカチで必死に止血をした。

「ハルくん、大丈夫。傷浅いから」

そういう問題じゃない。
貧血気味の蒼真から今血を取ってはマズい。

「っつ!離してよ!痛い!」

光貴の腕の中で暴れ出す蒼真。
いつの間にか羽交い締めを止めて
抱きしめていた。

2人はよろけ、学習机にぶつかった。
机の物がバラバラと落ちる。

ぱりん、と冷徹な音が響く。

写真立てのガラスが割れている。
蒼真と友矢のツーショット写真だった。
割れたガラスの中から2人の笑顔が覗く。

その写真立ての上に舞うように
もう1枚の写真が落ちてきた。


光貴が拾う。

「これって、エコー…?」

何も言えなかった。

光貴からの視線を外してしまった。

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朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます!体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします! (2017年10月30日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです!最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです!更新頑張ってください! (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます!勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします! (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あ゙あ゙ああぁ〜〜!!(´;ω;`) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳: 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!本当に嬉しいお言葉です!この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします!もしよければこれからも感想とかお願いします! (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2016年6月24日 18時

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