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31話 ページ31

震える手を優しく握った。

背中を摩ると、俺の肩に頭を乗せた。

「赤ちゃんいること、…知ってた?」
ふるふると頭を振る。
「そっか…」

知らなかったのか。
それは怖かったはずだ。

「怖かったね、よく頑張ったね」

ギュッと目を瞑る。蒼真は泣くのを堪えていた。
今、どんな気持ちなのかは分からない。
ただ、不安に押し潰されそうなのは
確かだった。


「ハルちゃん、俺…どうすればいいのか分かんない…」

ぼつり、またぽつりと蒼真の血色ない唇から
落ちる言葉に耳を傾けていた。

「相手は…」

「…友矢。間違いない」

愛ある行為の末だと言う事に安堵感を覚えた。


「ハルちゃん、分かんない、分かんない、分かんない、分かんない」

「落ち着いて、ね?大丈夫、大丈夫」

パニックになっている蒼真の背中をゆっくり摩る。
母さんがよくやってくれてた「大丈夫の魔法」。

これをしてもらうと、みんな兄弟は安心していた。

「ハルちゃんだったら、どうする?
俺に どうして欲しい?」

俺は…

赤ちゃんを産むって決めた二年前。
命に関わる出産。
俺に関しては、人の何倍ものリスクがあった。
まだ22歳で学生だった。
産まない決断を何度もした。
だけど、

だけど、

…産むって決めた。

産まれてくるまでの入院生活を余儀なくされた。
24時間張りどめの薬が入った点滴打って。
だけど、それでも__________

「俺は、

産んでほしいよ、蒼真」

自分の子供はものすごく可愛いの。

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朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます!体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします! (2017年10月30日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです!最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです!更新頑張ってください! (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます!勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします! (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あ゙あ゙ああぁ〜〜!!(´;ω;`) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳: 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!本当に嬉しいお言葉です!この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします!もしよければこれからも感想とかお願いします! (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2016年6月24日 18時

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