【男主】伝説のボカロPは歌い手に愛され執着されています【歌い手】

5話 ページ7

♪〜

その時Aのスマホから着信を知らせる音楽がなる。

『んー？太郎くんだ。
どうしたんだろう？

もしもし、太郎くんどうしたの？』



Aが太郎くんと呼ぶ人物は1人だけ。
言わずと知れた人気歌い手かつシンガーソングライターの伊東歌詞太郎さんだ。


「あれ？歌詞太郎さんっていま初音ミクのアニバーサリーライブに出演してるはずじゃ...」

志麻が思い出したように言う。


『えーそれ太郎くん怒られないの？』


うっすらと聞こえる電話先は、ガヤガヤと何だか慌ただしい様子だ。




『あーそうなんだ。俺は全然いいよー
太郎くんが歌うの？』



『なるほど、じゃあ後でライブ映像待ってる。』



電話を切ったAは何だかニヤニヤしている。


「何の電話？」

恐るおそるといった様子で坂田が問う。


『太郎くんが俺の新曲ライブで流していいかー？だってさ。』

「はぁ？？？」


衝撃的なセリフに皆が一斉に声を上げる。


『わーいいハモリー』

「意味わかんない！！どういう事？」


『ライブの出演待ちで俺の動画投稿知っってくれたらしくて映像と音楽貸してくれってさ。
10周年のアニバーサリーライブにお前居ないなんてありえないと思ってたって騒いでた。
流石にこの短時間で歌詞覚えて歌うのは無理らしいから、俺の動画をモニターでそのまま流すって。』



「規格外すぎる...」

「これはライブ大荒れだぞ」

昔からこの2人を絡ませるとろくなことはなかった。
いつも被害にあうのは歌い手の俺らだった。

けれど、
『ミクのアニバーサリーライブでミクに歌ってもらえるなんて嬉しいな』

そう言って笑うAを見たら怒るものも怒れなくなってしまう。

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