18話 ページ20
『太郎くーーん！俺のアニバーサリーライブ出てくれない？』
Aの家の玄関を開けると同時に、そう言いながら抱きついてきた家主を驚きつつも抱きとめる。
「わっと！
うーん、いつにも増して唐突だな。」
『え...ダメ？』
途端にくしゃりと顔を歪め悲痛な表情をするAに慌てて声をあげる。
「ちょっ！違う！
出ないわけないでしょ！」
取り乱した俺を見てAはクスクスと楽しそうに笑った。
ー ー ー ー ー ー ー
『ねぇ太郎くん...』
ライブについて色々と詳細を聞いて、漸く一息ついた入れたちはコーヒーの入ったカップを片手にソファーに寄りかかった。
Aやみんなとのライブ
絶対に楽しいんだろうな...なんて思って居ると、
ふと、思い出したかのようにAが口を開いた。
『これはみんなに言ってあることなんだけど、辞めたいって思ったらいつでも教えてね』
「え？...どういうこと？」
『もしこの先俺と音楽やって行きたくないって出来事があったらいつでもこのライブの出演を辞めてもいいよって意味。』
「そんなのある訳ないだろ！？」
『分かんないよー？あるかもしれない。』
ひょうひょうとした様子で笑うAは、仮面を貼り付けたような表情をしていて掴み所がない。
こういう時のAはあまりいいことを考えてはいないのを俺は知っている。
悪巧みだとかそういう話じゃない。
きっと何か大事なことを隠してる。
「A、何しようとしてるの？」
Aの奥底を知りたくて、彼の瞳を覗き込む。
深い栗色のその瞳は、窓から入った光を反射させてキラキラとまるで宝石のように光綺麗だったが、思考の深奥を晒してはくれなかった。
『誰にも見せなかった俺の秘密。』
すうっとAが息を吸う音がこちらまで届いた。どこか不気味にも感じるその音は、俺をひどく掻き乱す。
『みんなに教えようと思って』
そう言ってかくりと首を曲げ笑ったAは相変わらず綺麗だったけれど、そこには触れれば壊れてしまいそうな儚さを含んでいた。
秘密...秘密か。
そうだ、
今のAはまるで、あの時俺たちに秘密を明かしてくれた時のような、寂しげで危うげな雰囲気を纏っていた。
Aの秘密。
歌い手の俺たちしか知らない、Aの過去。
たしかあれは、3年前ぐらいの話だったっけ...
ー ー ー ー ー ー
『俺さ....死にたかったんだよね』
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ゆきうさぎ - コメント失礼します。作者様の負担になるようでしたら話は別ですが、僕は皆でハッピーエンドが良いと思います。 (2020年9月20日 1時) (
レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 個人的にはhappyendが好きなのでhappyendが読みたいです…！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 57a51dc74d (このIDを非表示/違反報告)
匿名主(´・∀・｀) - 初めまして、失礼します。個人的にはhappy endが良いんですが…一回何らかの endで完結させてしまって、その後に場面分岐的な終わり方にすれば良いのではないか。と考えております。作者様に負担が掛かってしまいますし、上からで申し訳ないんですが…考えて頂ければと (2020年6月13日 21時) (レス) id: 610e5b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
ペン - 初めまして、今日は。 秘かに読まさせて頂いてます。今更なのですが、 happyendが良いと思ってます。体調に 気を付けて更新頑張って下さい。 (2018年6月24日 11時) (携帯から) (レス) id: c5e8935b6a (このIDを非表示/違反報告)
にょむさん - 個人的にはHappy Endがいいです！ (2018年6月17日 22時) (レス) id: c18b2f6fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年12月3日 21時
